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Book Report: Verity

4 時間前
読了時間: 5分

Author: Colleen Hoover

翻訳版の有無: あり「秘めた情事が終わるとき」、「ヴェリティ/真実」

映像化: あり。「ヴェリティ/真実」

英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)


「大切なことはやっぱり言葉にして言うべき」


日本には「秘すれば花」という言葉がありますが、それが完全に裏目に出たことを物語るのが本作「Verity」。

言葉にして伝えなかったがために、後戻りできないところまで進んでしまった、ということが拭いきれないのが本作。


十一月に日本で公開されるのを前に、先に原作を読みました!

本作を読む前に、「It Ends with Us/ふたりで終わらせる」とその続編「It Starts with Us」を読了し、同じ作者Colleen Hooverの作品だったので、楽しみにしてページを開いたのですが、サスペンスな雰囲気が漂う作風へ一気に引き込まれました。

作品冒頭で主要な人物が、まるで運命的に出会ってしまうのは、フィクションなので仕方がないのですが、Colleen Hooverの作品って、特に物語の冒頭って、死にまつわることが描かれている気がするのは気のせいだろうか。

(いや、私はその死について、VerityとIt Ends with Usでしか感じ取っていないから、彼女の作品すべてとは言い切れないのですが。)

It Ends with Usは、主人公Lilyの父親の死を語るところから始まる物語でした。

本作も、ある人の死から始まる物語で、何とも不吉な雰囲気を醸し出していました。


さて、本作を語るにあたり、「大切なことはやっぱり言葉にして言うべき」と断言した形でうたいましたが、本作を読み進め、事の顛末を知った結果、大切なことを言葉せず、口にしなかったことで物事の行き違いが出来てしまったというのが結論かなと思いました。

それに巻き込まれた主人公は、よかったのか、悪かったのか。

売れない小説家ローウェン・アシュリー(Lowen Ashleigh)のもとに、人気作家ヴェリティ・クロフォード(Verity Crawford)が手掛けるシリーズものの共著者になる依頼が飛び込んでくる。

ヴェリティの作品はすべて物語の敵役(antagonist)視点から描かれる作風が取られていて、それが彼女を人気作家にのし上げている。

ヴェリティの作品に惹かれる一方、ローウェンは、ヴェリティの身に起きた悲劇にも強く惹かれる。

彼女が共著者になるオファーを出したのが、ヴェリティの夫であるジェレミー(Jeremy Crawford)で、ローウェンが打ち合わせの移動時にひどい交通事故に遭遇した場面に居合わせた人物。

クロフォード家と関わることになったあの運命の日に、ジェレミーと交わした会話の内容や、ヴェリティの共著者になることを承諾した後に調べた結果、クロフォード夫妻は不幸な事故により、三人いる子供のうち上の双子姉妹チャスティンとハーパー(Chastin and Harper Crawford)を亡くしている。

しかも、共著者になるオファーも、実はヴェリティが自損事故により人の介助なしでは生きられない姿になり、シリーズ作品を完結させられないからだという。

ローウェンの作画を買ってくれるジェレミーだが、共作のためにクロフォード家へ厄介になるローウェンは、奇妙な出来事に出くわすことになる。

それは、事故により人の介助なしには生きられないヴェリティが、自身の意思を持って動く姿を目の当たりにすることだった。


肉体が動かない妻と、その妻に何らかの形で囚われた夫、そして第三者の立場になる女性、というのは、Daphne du Maurier作のレベッカ/Rebeccaと共通していて、比較しながら読み進めていったのですが、レベッカに登場する夫人レベッカがだいぶ異常者だったのに対し、本作のヴェリティは、女性として、母としてかなり悩み通した人物として描かれていました。

現代の女性が抱える悩みを鮮明に描き、少し歪んでいるとはいえ共感を得やすい悩みだったと思います。

何も共感できない方から見れば、ヴェリティの言動はやっぱりちょっとおかしい人。

どんなに世の中が変わっても、女性側が変化を受け入れざるを得ない状況を受け止めることが多くて、ヴェリティの場合、それを受け止めるのが難しかった女性でした。

ジェレミーは、その変化が美しいものだとして捉える、誰から見てもいい男、いい父親なのですが、自身の変化を受け入れきれないヴェリティには重荷でしかなかった、というのが事の顛末でした。

娘達が亡くなり、残された子供のクルー(Crew Crawford)は様々な条件から外れているので、あまり不吉な印象を受けませんが、様々な葛藤を覚えながら対処するのがローウェン。

何ともいたたまれない立場に追いやられます。


さて、主要人物のヴェリティですが、verityは「真実」という単語。

昔観た名探偵コナンの映画に「事実と真実は違う」というニュアンスの台詞が出てきましたが、本作はverity=真実に焦点を当てた作品。

不幸な事故で、子供三人のうち二人を亡くし、妻が別の事故で人の介助なしで生きられない姿になったことは事実ですが、果たしてそれが真実だったのか考えさせられます。

そして、ヴェリティが夫ジェレミーに対し、真実を直接伝えなかったがために、様々な行き違い書生じさせてしまうのが本作のエンディング。

いろいろひっくり返すと、ちょっと悔しくなってしまう作品です。


それにしても、名詞の単語が名前になるのは面白いなと、言語を勉強する私は思ってしまうものです。

先述した通り、verityは真実性という意味を持つ単語です。

名詞が人の名前になるパターンは他にも、prudence=用心深さ、思慮深さ、charity=善心、寛大、寛容、dexter=右側の、運が良い、という単語も人の名前になることもあります。

Bridgertonシリーズで登場するキャラクターにプルーデンスがいますし、映画「グレーテストショーマン」の主人公の興行師P. T. バーナムの妻はチャリティ・バーナム、アメリカ製のアニメーションに「デクスターのラボ(Dexter’s Laboratory」というアニメがありその主人公がデクスターですが、気になった方は是非それぞれ調べてみてください。

本作の真実性(verity)は何を指すのか。

言葉が少なかったがために、夫婦であったのにわかり切れなかったクロフォード夫妻。

その様子を外から知ったローウェン。

切ない話だなと思って読み進めましたが、一筋縄ではいかないサスペンス要素を作り出すColleen Hooverなので、全体的に楽しんで読み進められました。

日本では十一月公開の映画作品なので、これから楽しみです。



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