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Book Report: A Man Called Ove

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 2月1日
  • 読了時間: 3分

Author: Frederik Backman

翻訳版の有無: あり「幸せなひとりぼっち」

映像化: あり「オットーという男」

英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)



この本を読むと、「理不尽に向き合うにはどうすればいいかと考えさせられる」というベネフィットを得られます。


人生は理不尽の連続である。

なんて、格好つけて口にする人達がたくさんいました。

といっても本の世界で出会った人達がそれを口にしたのですけれど。

そして、その理不尽は、私に降りかかったわけではなかったですけれど、その理不尽を目にしたことがありました。

どうしてその人たちが、こんな理不尽な目に遭うのだろうと思ったことがあります。


人生の理不尽を描いたのがこの、「幸せなひとりぼっち」です。

主人公のオーヴェ(Ove)は、いわゆるむすっとしたおじさんです。

別にトラブルを起こして面倒を起こすわけではないけれど、ルールを守らなかった人がいると異様に手厳しい。

早朝にコーヒーを淹れて、まるで監視するように近所の様子を見まわる彼は、実は誰にも言えない悲しみを抱えている人でした。

不遇な子供時代を過ごし、結婚後も理不尽な出来事に遭遇して、行き場のない怒りをうまく処理できずに過ごしてきた人でした。

彼が生きる間に感じた悲しみや怒りは、この物語の中では過去のものとして描かれているため、現代の時間に生きる人達はオーヴェの悲しみや怒りがどこから来るか知りません。

なぜオーヴェが気難しい中年男なのか、誰もわからないのですし、誰しも彼を気難しい中年男としかとらえません。

ですが、三人目の子供を妊娠中のパルヴァネ(Parvaneh)は、彼の人生にずかずか入り込み、彼に助けを求め、彼と友達になっていきます。

やがてオーヴェの心は少しずつ解れていき、パルヴァネの存在が救いになっていきます。


敢えて触れませんでしたが、本作は、自分の人生をどう終わらせるかということを取り扱っています。

オーヴェは彼の人生で理不尽な出来事をいくつも経験し、現時点では、自分の手でその人生を終わらせる決心をしたところでした。

つまり、オーヴェは自分の人生を悲観していたのです。

どんなに頑張っても、自分の人生は理不尽の連続だと、オーヴェは感じていたのでした。

彼の人生を悲観的なものに持っていたのは彼が出会った人達ですが、同じく残りの人生を良い方向に持っていったのも、パルヴァネ含めた、彼が出会った人達でした。

人間関係は複雑で、疲れて、そして愛しいものです。

オーヴェと似たような人生を送る人達は、自分の人生をいいと思えるかどうか、難しいと思います。

ですが、彼が自分一人になった時、自分の残りの人生をどうハンドリングするか考えるのは誰にでも起こりえることですし、彼が自分の人生の終わらせ方をどうしたかというのは納得のいくものでした。

人生は難しいものです。

受け入れてしまえば簡単ですが、そうもいかない。

オーヴェの姿がそれを物語っているように思えました。



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