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Book Report: Blue Sisters

執筆者の写真: MasumiMasumi

Author: Coco Mellors

翻訳版の有無: なし

映像化: なし

英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)



この本を読むと、「やっぱり兄弟っていいなと思わせてもらえる」というベネフィットを得られます。


四姉妹といえばオルコットの「若草物語」が有名です。

本作も、スポットが当たる三人の女性達は四姉妹で、三女の存在から大きなインパクトを受けた残りの三人が、次のライフステージへ向かっていくという内容になっています。

「Blue Sisters」読了時点で私はまだオルコットの「若草物語」を読んでいませんが、これを機に読み始めています。

まだ序盤ですが、「若草物語」に登場する三女ベス・マーチ(Elizabeth March)は他の姉妹達に大きなインパクトを与える存在のようです。

本作、「Blue Sisters」も、三女のニッキー(Nicky)により、物語は大きく動き出します。


アルコール中毒の父親ブルー氏と、母親になりきれないブルー夫人の元に生まれた四人姉妹のアヴェリー(Avery)、ボニー(Bonnie)、ニッキー(Nicky)、ラッキー(Lucky)は、一見すると普通の姉妹ですが、未熟な両親の元に育ったことにより、それぞれ問題を抱えて大人になりました。

アヴェリーは頭が良かったものの、不安定な精神から薬物に手を出し、ボヘミアンの生活を経て、薬物克服後は弁護士になります。

ボニーはボクシングによって心の安定を保ちますが、十三歳年上のトレーナー、バヴェル(Pavel)への報われない恋に身をやつします。

四姉妹の中で比較的精神が安定するニッキーは地元の学校の先生となり英語を教えます。

ラッキーは幼い頃にモデルデビューを飾り、早くに海外を飛び回る生活を送りますが、心はいつもぽっかり空いていて、虚無感を満たすためにアルコールに走ります。

年齢と人生経験に対して心が追いつかないなどちぐはぐな部分を多く抱える姉妹は、お互いがいたことで何とか関係をやっていけていましたが、ニッキーが子宮内膜症(endometriosis)による痛みを和らげるため、薬をオーバードーズしたことが原因で亡くなってしまいます。

ニッキーの死により、それぞれが目を背けてきた人生の課題に向き合っていきます。


親の責任を押し付けられた長女のアヴェリーは、経済力を理由にニッキーが生前住んでいたアパートの家賃を払い続け、家族の拠り所を確保するのが自分の責任ということにしがみつき、心を保ってきました。

彼女はこれまで、姉妹達のお世話をしてきた経験から、アパートの支払いも自分の責任と感じているのです。

しかし名義は両親のものであるため、アパート解約の連絡を受けた時には動揺します。

これを発端に、アヴェリーは、これまで目を背けてきた自身の同性パートナー・チッティー(Chiti)との間に子供を持つことについて、考えるようになります。

時同じくボニーも、ニッキーの死が原因で大敗したボクシングの試合により、仕事から遠ざかり、バーのバウンサー(入店時の用心棒のようなポジション)をしていましたが、ボクシングに対する思いや、師であり片想いの相手であるパヴェルへの気持ちと向き合います。

長女アヴェリーと次女ボニーは年齢が近いことでより距離が近づきますが、強烈な個性を持つ点で似通っているアヴェリーと四女ラッキーは反発があり、特にアヴェリーはニッキーの死以降帰省しないラッキーを快く思っていません。

しかし、根っこの深いところでは姉妹として繋がっていて、お互いを想う気持ちを素直に出せないだけで、心配し合っていることを見受けられます。

ラッキーは、一番独立しているようで人への依存心が強く、ラッキーの死以降、アルコールに溺れることで現実逃避しますが、心の底では逃避することしかできない自分に嫌気がさしているようでもありました。

それが出来ない苦しさと、薬物から克服した強いアヴェリーから正論を突きつけられると、ラッキーも嫌気がさすのです。


この作品は、子供はいかに強く親の影響を受けるか、ということを示す作品で、親との関係性と、それによって引き起こされた自分達の課題に向き合う姿を描いています。

作品を通じて思うのは、彼女達は姉妹でよかったということ。

課題の相手である親の姿を姉妹で見つめ、自分達はどう成長したいか落としどころを見つけるのです。

それを姉妹が各々実践し、やがて苦しみを分かち合います。

喧嘩してぶつかり合っても最後は歩み寄り、苦しみを分かち合う勇気を持ち合わせた三人の姿を見て、兄弟っていいなと思えました。



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