Author: Anne Bronte
翻訳版の有無: あり「アグネス・グレイ」
映像化: なし
英語レベル: Advanced寄りのBasic(一日3分英語と向き合えるレベル)
この本を読むと、「人に尽くす苦労に共感することができる」というベネフィットを得られます。
私がすごいな、と思う職業に教師、家庭教師、マネージャーといった、人をサポートするものがあります。
どんな仕事も簡単かことはないし従事する方はすごいと思うのですが、私は仕事の軸が自分に向いているので、相手を輝かせる仕事より自分が輝く仕事がしたいという思いに方が強いです。
誰かをプロデュースするより、自分をプロデュースしたい。
となると誰かをプロデュースする仕事に就いている人は、すごいなとなる。
そんな私の考えに関連するのが本作。
主人公アグネス(Agnes Grey)は自身の家庭を助けるために、家庭教師ガバネスに従事することに。
作品では二つの家庭の子供達のガバネスになるのですが、躾のなっていない子供達に振り回される様子も描かれるし、徐々に気持ちが萎えていく様子も描かれて、現代で人に尽くす仕事に従事する人の苦労とリンクし共感できます。
このアグネスも苦労するのですが、そもそもの仕事以外に、彼女は親と姉に子供扱いされ守られながら生活してきた経緯があり、生まれて初めての仕事が人に尽くす仕事というのがまたすごいなと思います。
(時代背景の点から、女性は知り合いに紹介してもらってガバネスになるのが主流だったのかもしれない。)
反対に姉は絵を描いて売るという手法でお金を得ていくのですが、その対比が面白いなと思いました。
自分のスキルを駆使しお金を稼ぐ技術職の姉。
人に尽くすことでお金を稼ぐサポート役の妹。
さて、アグネスは二つの家庭に赴き、年齢層の違う子供達に振り回されるのですが、ある程度年を重ねた子供達のいる二つ目の家庭マレイ家(The Murrays)の方により影響を受けます。
上の男兄弟二人は進学のため家を出ているのですが、下二人の社交デビューに憧れる長女ロザリー(Rosalie)と男勝りな次女マチルダ(Matilda)姉妹は、一つ目の家庭の子供達と比べてある程度年上で、躾もそれなりだし、アグネスも雇い主の子供達とガバネスという立場を尊重しつつ仲良くなります。
社交場デビューを果たした後のロザリーは、男性に注目されちやほやされることに喜びを覚えるのですが、アグネスはガバネスの立場からはらはら。
傍にいる大人の女性としてアドバイスしたり、話を聴いたりする姿に、アグネスも甘やかされた子供時代から成長したなと感じさせてくれます。
それもアグネスが、マレイ家に心を砕いたからだと思うのですが、自立する姿に応援したくなりますね。
彼女は人との交わりによって成長する人生だったんだな。
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