Author: Meg Cabot
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)
この本を読むと、「大事な人のためにエネルギーを注ぐことを覚悟できる」というベネフィットを得られます。
いやぁ、ようやっと読了したシリーズでございました。
第一作を購入したのがなんと2012年!
Kindleを購入したばかりの頃に入手して、その時読んだ印象としてあまり面白くなく 笑
英語の理解力も影響していたのだと思いますが、第二章、第三章があるとはいえ、挫折したままにしていたのですが、意を決して続編を購入したのが2023年。
長かった、読み終わらないかと思った。
臨死体験をしたピアース(Pierce Oliviera)と、死の象徴としてアンダーワールドに仕えるジョン(John Hayden)の、時空を超えたラブストーリーですが、ギリシャ神話をベースにした謎あり、従兄弟アレックスとの家族の絆あり、邪な精霊Furyに取り憑かれた祖母カブレラ夫人(Mrs. Cabrera)からの執拗な攻撃あり、たくさんのアイテムが出てきて果たしてまとまるのかと思いましたが、あっさり大団円を迎えるところがヤングアダルト向けかと思いました。
登場人物がたくさん出てきましたが、シンプルに必要なのはピアース、ジョン、カブレラ夫人だったかと。
前作で死に直面した従兄弟アレックス(Alex)がアンダーワールドで回復し、友人ケイラ(Kayla)も含めてアンダーワールドに連れ戻ったピアースは、死に向かって旅立つ魂達(実際には人間の形をしているので死者と見分けがつかない)を誘導する手伝いをするところから話は始まります。
その最中に混乱が起き、これが原因でジョンの死に直面するピアース。
二百年の時を生き、死に仕えるジョンが死ぬわけがないと受け入れられないピアースを励ますように、アンダーワールドでジョンに仕える彼の仲間から、タナトスがジョンの魂を掴んでいる可能性があると助言を貰います。
地上に戻る決心をしたピアースは、アレックス、ケイラ、そしてジョンの部下であるフランクと共にタナトスを探しに行きます。
アレックスは地上に戻ったら、彼を臨死体験に陥れた同じ学校の生徒セス・レクター(Seth Rector)に一矢報いたい気持ちでいますが、ピアースはあくまでジョンの魂を取り戻すことが優先事項。
衝突を重ねながらも、ジョンの魂奪還や、触れられていなかったピアースの母デボラの学生時代の秘密が紐解かれます。
本当に盛りだくさんのエピソードでしたが、本作のテーマは、大事な人のためにエネルギーを注げるか。
ピアースはジョンの魂奪還のため、悪しき精霊フューリー(Fury)の手の届かないアンダーワールドから飛び出し、アンダーワールドの話を空想だと言って耳を貸さない人達(両親とか)に立ち向かいます。
もちろん、前作の最後で臨死体験したアレックスを支えるためにも彼女はエネルギーを注ぎます。
自身も、祖母カブレラ夫人の手によって臨死体験する羽目になった身。
同じように戸惑うアレックスに寄り添います。
また主人公だけでなく、脇を固める人物達も大切な人達を思う様子が描かれます。
特にファンタジーと現実が融合する作品なので、本来ピアースが住む現実世界の人達にジョンが住むアンダーワールドの世界を説明して理解してもらうのは至難の業。
それでもピアースは信じてもらう必要があるから、切に説明しても中々理解を得られない。
一番の理解者は、彼女が住む町イスラ・フエソス(スペイン語でIsla Huesos、骨の島の意味)にある墓地の管理人リチャード・スミスで、彼は第一作登場時からジョンの事を知っていて、臨死体験したピアースを変人扱いしない数少ない人の一人でもあります。
彼も、ピアースとジョンのピンチに協力的で、彼が味方についているのは心強く見ていられました。
同年代のアレックスやケイラともアンダーワールドのことを共有できたのは、ピアースにとっても心強いこととなります。
生き抜くため、悪しき精霊フューリーと戦うため、大切な人を守るため、登場するすべての人物が自分のため、誰かのためにエネルギーを使い意思を貫こうとする姿勢がこの作品を通じてみることが出来ます。

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