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Book Report: The Camelot Years

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 5月4日
  • 読了時間: 4分

Author: Soman Chainani

翻訳版の有無: なし

映像化: なし

英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)

*ここでは、The School for Good and Evilシリーズ後半の3作品である、Quests for Glory、A Crystal of Time、One True Kingを記します。



役割とは、望みとは


いやぁ、このシリーズ、最初の三部作The School Yearsにしても後半の三部作The Camelot Yearsにしても、手に汗握る展開が多くて本当に面白かった。

緊張感があって、読了後はしばらくファンタジーもの読まなくていいや、と思わされるくらい 笑

映像作品も観て楽しんだけど、書籍を最後まで楽しめるというのは語学が出来る特権だなと思っている。

(もちろん、そう言えるようになるまで苦労と努力があるから言えるのですが)。


一人はヒーロー/ヒロイン、一人は悪役というペアリングの規則性に基づき、ガヴァルドン(Gavaldon)という村からおとぎの世界へ連れてこられた友人同士のソフィーとアガサ(Sophie and Agatha)が、将来お伽話で活躍する正義と悪を養成するSchool for Good and Evilにそれぞれ組み分けられたのが先の三部作。

ガヴァルドンでの生活から抜け出すため、子供の頃からお姫様になり真実の愛を見つけることを夢見てきたソフィーは悪:ネヴァー(Never)に、魔女の子と後ろ指を指されて生きてきたアガサは善:エヴァー(Ever)に組み分けられ、学校と学校長にまつわる歴史やアーサー王の息子テドロス(Tedros of Camelot)との三角関係に向き合いました。

その経緯があり、最終的にそれぞれが与えられた役割に納得して全うすることを誓うソフィーとアガサは、精神的に大人になったところから後半の三部作が始まります。


本当は、故郷の村ガヴァルドンへ戻り友人のソフィーと静かに暮らしたかったアガサは、テドロスの王妃となり、混沌を極めるキャメロットを収める役割を受け入れました。

本当は、愛する王子に選ばれて幸せに暮らしたかったソフィーは、悪側:イーヴィル側の生徒達を束ねるdean: 学校の学科長の役割を受け入れました。

大切な友人でありながらも、ソフィーとアガサは恋愛関係にないため結ばれないし、まして善悪の立場の違いから住む世界が違うため、お互いが持つ望みと反する道をたどることになりながらもそれを受け入れることに決めました。

姉妹のように近しい友人関係にある二人ですが、恋が絡むと、ソフィーもアガサも各々思いがあるため、反発してしまうんですよね。

そこで物語が終わってくれればよかったのですが、前の三部作で決着していなかったのが、学校長との確執とテドロスを取り巻く環境について。

学校長は双子の兄弟で、善悪に分かれて均衡を保っていた歴史がありましたが、悪側を司るラファル(Rafal)の離反があり、お伽の世界を巻き込んだのが前作三部作の太い主軸でした。

そして、テドロスを取り巻く環境ですが、彼がアーサー王の息子という設定である以上、背を向けられないのがグィネヴィア王妃(Queen Guinevere)とアーサー王側近ランスロット(Lancelot)の不倫です。

幼いテドロスは、母と信頼出来る側近が離れ、父が傷つく姿を見てきましたから、それを乗り越えるための力が必要でした。

一応、三作目のThe Last Ever Afterでその様子が詳しく描かれていて、今作はその傷と向き合った後のテドロスなので、精神的に少し強くなっています。

ただ、今作での彼の環境も過酷でしたね。

アガサとキャメロットを治める決意をしたテドロスは、戴冠のための試験に向き合うことになります。

その試験がくしくも、石に刺さった剣エクスカリバー(Excalibur)を引き抜くという、父王が王となったシーンの再現をすることになるのですが、それがテドロスにとっての試練になるという皮肉を描きます。

試練の他に、父王に忠誠を誓うかつての側近レディ・グレムレイン(Lady Gremlaine)の台頭にも目が離せません。

School for Good and Evilに所属するお馴染みの生徒達は最高学年となり、独り立ちの試験もあり、イベントは盛りだくさん。


ただ、まぁ、冒頭にも書いたように、各々が与えられた役割と、自身の望みとの間で悩む登場人物達の姿が描かれます。

主役級のソフィー、アガサ、テドロスはもちろん、シリーズを通じソフィーへの愛が報われなくてもそれでも愛し続けたホート(Hort)、試練を乗り越えるたびに賢さが磨かれていく三人の魔女アナディル、ヘスター、ドット(Anadil, Hester, Dot)、守られるだけでなく戦う強さを身に着けた三人の姫ビエトリクス、ミリセント、リーナ(Beatrix, Millicent, Reena)、そして自分と違い叡智を持たない人たちを信じる忍耐強さを付ける魔法使いマーリン(Merlin)。

各々が持つ望みと与えられた役割との間で揺れる登場人物達から、読者である私達にも近しい立場や悩みがあるので、ファンタジー作品ながら身近に感じられます。


本作、すべて映像化してほしいのですが、一作目で終わってしまっているのが残念。

翻訳版は二作目のA World Without Princesまで出版されているので、比べながら読めるのが嬉しいですね。



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