Author: Bernard Shaw
翻訳版の有無: あり。「テラビシアにかける橋」
映像化: あり「テラビシアにかける橋」
英語レベル: AdvancedよりのBasic(一日3分間英語に向き合えるレベル)
この本を読むと、「子供の頃の瑞々しい感性を思い出させてくれる」というベネフィットを得られます。
自分が持っているSNSを通じて、一つの動画にたどり着きました。
それがこの「テラビシアにかける橋」をピックアップした動画でした。
興味を持ってネタバレまで調べて、洋書も買って、本日一気に読み上げてしまいました。
児童向けの作品であることからさらっと読むことが出来たのですが、のめりこんだのは、子供の頃の瑞々しい感性を刺激されたからだと思います。
物語の大筋が単純。
小学校五年生という十代の独特の感性を持つ世代の子供が、新たに友を得て、そして思わぬ悲劇を経験し、非情にも日常は何事もなく過ぎていく。
五人兄弟の真ん中で唯一の男性であるジェシー(Jesse)は、隣の家に引っ越してきたレスリー(Leslie)とやがて友達になります。
大家族の中で、毎日仕事で家を空ける父親とジェシーが唯一の男性で、家族は皆女性達で、彼女達の中には味方がおらず、更に小学五年生という独特の感性を持つ年頃の彼は、孤独を感じながら生活していました。
そんなジェシーの心の琴線に触れたのが、同級生となる女性、レスリーでした。
彼女と意気投合し、近くの森を遊び場とした二人は、この場所を自分達の想像の世界テレビシアと名付け、二人はその世界を統べる王と女王として楽しく過ごしていました。
それはある悲劇が起きなければ、ずっと二人を幸福が包んでいたことでしょう。
もし二人の身に降り注いだ悲劇が起きなければ、ジェシーとレスリーはどういう未来を歩んでいたのでしょうか。
ジェシーもレスリーも、二人は小学五年生の瑞々しい感性を持っていました。
五人兄弟の真ん中で、唯一の男の子だったジェシーは、家族の中に近しい人を見いだせずにいました。
同じ男性の父親は仕事で家を空けることが多いし、上の姉二人は年頃で自分をかまってくれない。
すぐ下の妹メイベル(May Belle)とは近しい間柄のジェシーですが、心のすべてをさらけ出せる間柄ではない。
反対にレスリーは一人っ子。
両親の他に、味方はいない。
どうやっても孤独を感じる二人。
だけど、その孤独が想像力を育て、二人が一緒にいることで想像の世界が育ちます。
二人で過ごす時間は孤独を感じることはありませんでした。
テレビシアという二人が共通の世界を心の拠り所していたお蔭で、きっと楽しくその想像の世界の王と女王として生きていたことでしょう。
二人の身に起きた悲劇は、ジェシーとレスリーの世界を分けます。
とりわけジェシーは、日常を何事もなく生きることを強いられました。
日常とは、人ひとりの喪失があっても何の支障もない世界のこと。
そこにジェシーが残されました。
想像と現実の狭間で、ジェシーは前に進む決断をします。
ジェシーとレスリーは小学校五年生と言う、独特の想像力を使って遊んでいます。
彼らにとっては王と女王の降臨ですが、大人の目線でいえば、二人がやっていることは、想像の世界でのごっこ遊び。
独特の感性がぶつかり合う中、二人が作りあげて完成する世界があります。
子供二人で共有する世界が、ある悲劇を経て壊され、そして日常に染まっていく。
大人の階段上る、とはよく言ったものですが、ジェシーも大人への階段を上る際に悲しいかな悲劇を経験し、大人になっていくのです。
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