Author: Helen Fielding
翻訳版の有無: あり。「ブリジット・ジョーンズの日記」
映像化: あり「ブリジット・ジョーンズの日記」
英語レベル: AdvanceよりのBasic(洋書に一日3分向き合えるレベル)
この本を読むと、「完璧な自分じゃなくても、人は魅力を持っていると認識できる」というベネフィットを得られます。
人から受ける価値観のうち、年齢に関する価値観があるかと思います。
一昔前でいうと、結婚適齢期は25歳で、それを過ぎると結婚しにくくなる。
女性はクリスマスケーキに喩えられたものです。
その「一昔前」から随分年月が過ぎましたが、今でも私達は年齢で判断されますよね。
40歳に差し掛かる頃の男女(特に私は女性なので女性側の感覚ですが)は、〇〇していないとだめだ、みたいなレッテルを貼られます。
うぅん、生きずらい。
この生きずらさを扱ったからか、私は「ブリジット・ジョーンズの日記」に挑戦する気持ちがあまり強くありませんでした。
彼女の年齢側に近い今も、加えて現時点から十年以上前も、この作品に手をつけたくなかったのは、主人公が格好悪いから。
だって、こういう人の価値観を押し付けられた主人公って、足掻いていて格好悪いじゃないですか。
そういうの、見たくなかったんですよね。
「どうせ、この主人公が持っていないものを持っている他人に、主人公が窘められる場面がたんまり出てくるんでしょ?」
という気持ちが強く、映画を見る気もなかったですし、小説の存在も知っていたので読む気にもなれなかった。
それなのに、今回挑戦したのは、こんな心の葛藤とは裏腹に気になる作品だったから。
こんな格好悪い主人公なのに、ファンが多いんですよね。
洋書作品を紹介する媒体も、結構な確率でこの作品を紹介しています。
これは、きっと良い作品に違いない。
ある種の諦めもあり、ようやく手にしてみました。
そうしたら、本当に主人公ブリジットはぐだぐだのアラサー女子。
婚活はうまくいかないし、仕事もぱっとしないし、職場の上司に片想いする挙句に彼から丁寧に扱ってもらえない始末。
ダイエットは続かない、大酒飲みのヘビースモーカーで、なんだこの人という気持ちになりました。
痛い、痛い。
でも、このいわゆる「キラキラ女子」でないブリジットの姿は親しみやすい人そのもの。
毎日ルーティンワークでヨガやって、ファスティングやって、スキンケアして、なんて女性ももちろん努力して魅力的なんですけど、ブリジットの姿はどこにでもいる女性。
ここで気づかせてくれた私の価値観は、「シングルの女性は完璧に自分をケアして女性の自分を保つべき。じゃないと男性から選んでもらえない」というものがありました!
だからこの作品に手をつけたくなかったんだ!
だって、私は完璧に自分をケアして女性の自分を保てていないから。
自分をケア出来ていないブリジットを見て反応したのは、こういうことね。
この作品を読了した今、私が感じたのは、ブリジットは「キラキラ女子」ではないけれど、ちゃんと魅力的です。
自己肯定感がそこまで高くないけれど、きっと美人ではないけれど、彼女は自分の欠点を認めて、自分で決めた一年間ダイエットを遂行して、理想の建設的なパートナーシップとはということをつきつめたり。
人が固めた価値観には当てはまらないブリジットだけど、自分を見つめる力はちゃんとある。
さて、ブリジット・ジョーンズシリーズは原作四冊、映画で三本あるわけですが、作品を通じて彼女の相手役となる男性達が二人いますね。
彼女の両親の友人が紹介してくれた、マーク・ダーシー(Mark Darcy)。
彼は離婚歴がある弁護士で、固い印象の人。
もう一人がブリジットの上司ダニエル・クリーバー(Daniel Cleaver)。
軽薄な人たらしで、ブリジットも夢中のよう。
一応、本作でブリジットの中では彼女の恋に結論が出ることになっているんですけど、作品を通じて二人との関係も変化していくのではないかなと予測しています。
ページ数が多い反面、日記形式なので、あっさりさっぱり読めた作品でした。
残りの三作品も駆け足で読み進められそうだな。
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