Book Report: Confessions of a Shopaholic
- Masumi
- 7月31日
- 読了時間: 4分
Author: Sophie Kinsella
翻訳版の有無: あり「レベッカのお買い物日記」
映像化: あり。「お買い物中毒な私!」
英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)
この作品を読むと、「わかっちゃいるけど辞められない、という言葉に共感しやすくなる」という、ベネフィットが得られます。
読書とは関係ありませんが、私個人の学びとして、数年前から私はマインドと心の勉強をしています。
その勉強を通じて、私は自分の気持ちを感じきって情報を処理する方法より、頭で考えて情報を処理する方法の方が得意な人だとわかってきています。
物事を論理的に理解し言葉にすることに長けている反面、自分がどう感じているかを言葉にするのはどうも苦手なようです。
コンサルをしてくださる方は、私が頭で考えたことはよく読み取れると褒めてくださいますが、一転、物事をどう感じたかについてはもっと深堀ができる(つまり、感情面はうまく読み取れない)とアドバイスくださっていて、このマインドと心の勉強は私が私自身を知る、よいきっかけとなっています。
と、私のことを書きましたが、これが今回紹介する洋書とどう関係があるのか、というところですが、まさに主人公は「頭ではわかっちゃいるけど辞められない」ことをやってしまう人物です。
主人公のベッキー・ブルームウッド(Rebecca Bloomwood)は経済コラムを担当するジャーナリストですが、自分のお財布事情をコントロールできない、買い物中毒者。
複数所持するクレジットカードは、どれもオーバードラフト(銀行が設定した限度額に対し、使用額が超えた状態)。
資金繰りの催促連絡が届いても、いつも無視。
服にコスメに、デザイナー雑貨など、気に留まったものがあれば、自己投資など都合のよい言葉を使って買い漁ります。
ベッキーが買い物中毒になるくらい自分の収支をコントロールできなくなった理由は書かれていませんが、今の仕事を好きではなさそうですし、仲がいいとは言えルームメートのスーズ(Suze. スーザン: Susanの愛称)との経済格差に後ろめたさがあるようなので、ベッキーが買い物に走るのはストレスによるものかな、なんて思うのは私の見解です。
単にお買い物好きなのかもしれないですけどね。
本作で、ベッキーの仕事に関して重要な要素となるのが、何かと出くわすPR会社を経営するルーク・ブランドン(Luke Brandon)。
金融会社の記者会見の場で、ある金融会社の企業買収に関する噂を同業者から耳にするベッキーですが、その時もお買い物マインド状態で上の空。
そんな彼女だから、会社を経営するルークと絡むと、自身の経済に関する意識の低さに毎度どぎまぎする始末です。
彼の会社で務める従業員からも、ベッキーの浅はかさを見抜かれているようです。
その金融会社に関わるニュースがのちにベッキーのキャリアを大きく動かすことになるとは、その時の彼女は露知らず。
ルーク・ブランドンとの関係も、スーズと彼女の従兄弟ターキン(Tarquin)と出向いたレストランで遭遇したり、彼から思わせぶりに買い物へ誘われて出かけたりなどして、ベッキーの後に影響を与える時間を過ごしていきます。
(思わせぶりな態度のように読み取りましたが、本当はルーク氏、ベッキーに気があったのではないかと、物語の後半で疑うようになりました。)
物語の後半にかけて、ベッキーの買い物に対する衝動とお財布事情とのバランスが崩れ、読者ははらはら。
常にオーバードラフトした彼女のクレジットカード事情は、どうなってしまうのやら。
凍結するのかなど、見ものでした。
彼女の仕事と恋に加え、このバランスが崩れた収支を追いかける銀行の責任者デレク(Derek Smeath)も登場し、彼女の債務回収へプレッシャーを掛けます。
散財をセーブするには、「使わない」か「収入を増やす」のいずれかの選択をする必要がありますし、物語の中でベッキーの父もそういった言葉を彼女に掛けるシーンが登場しましたが、果たしてベッキーのような買い物好きが「使わない」を守り続けることができるのだろうか、というところが見所です。
自分の感情に正直なベッキーは、頭でわかっていても心では目の前の商品が欲しいので、つい買ってしまうのです。
わかっていても辞められない、買い物。
果たして、とっ散らかったベッキーの収支を解決してくれるのは何か、本作を通じて楽しく読み解くことができます。
彼女の恋愛については何となく展開が読めましたが、彼女のキャリアは思わぬ方向に進んでいくので、面白いです。

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