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Book Report: The Better Sister

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 10 時間前
  • 読了時間: 4分

Author: Alafair Burke

翻訳版の有無: なし

映像化: あり。「ベター・シスター」

英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)


「人生は、こんなはずじゃなかったのに、の連続」


クロエ・テイラー(Chloe Taylor)の人生こそ、こんなはずじゃなかったのに、という場面の連続でした。

彼女は女性の社会進出を題材とした本を出版し、出版業界で影響力を与える著名人。

いわゆるセレブリティの彼女には、被告側弁護士の夫アダム(Adam Macintosh)と彼の連れ子のイーサン(Ethan)という家族がおり、波乱ありつつも誰もが羨む生活を送っていました。

ただ、クロエにとってアダムとイーサンとは、元々は義兄と甥という関係であり、自身の姉ニッキー(Nicky Macintosh)の婚姻の末に出来た家族でした。

優等生のクロエと違い、何かと問題を起こすニッキーは、唯一アダムとの結婚生活でまともな姿勢を示したのですが、早すぎた妊娠のため気持ちの面で均衡を崩し、ある事件を起こしてしまうのです。

その事件さえなければクロエにとってアダムとイーサンは姉の家族でしかなかったのですが、思わぬ事態で二人との距離が縮まりました。

やがて、ニッキーとの離婚後アダムに協力してイーサンを育てるうちに、うっかりアダムと恋に落ち、葛藤の末に二番目のマッキントッシュ夫人に収まったクロエ。

甥イーサンを正式な養子に迎えていないため、法的には母ではなくステップマザーでしかないクロエですが、イーサンにとって幼い頃から自分を育ててくれたクロエは確かに母親のような人でした。


そんな複雑な家族関係を経て、キャリアも絶頂期のクロエですが、出版社のあるパーティーから帰宅後、自宅で変わり果てた姿のアダムを発見します。

本件の捜査を担当するガルドリーとバウウェン(Detectives Guidry and Bowen)は捜査の結果、事件の状況からイーサンを重要参考人として警察署へ連れていきます。

イーサンが拘束されたことで、久しぶりにニッキーと再会するクロエ。

亡き夫アダムと彼の死の重要参考人のイーサンを挟み、イーサンの実母ニッキーと養母クロエという緊張感を孕んで捜査は続きます。

捜査の途中、実はクロエはアダムの同僚と(ここもうっかり)不倫関係になっていたことや、アダムは死の二日前に打ち合わせと銘打って用途不明の時間を過ごしていたりと、クロエの知らない事実が浮き彫りになっていきます。

そして、クロエは久しぶりに会うニッキーとの時間を過ごすうちに、二人の目を通じて全く異なる自身の家族模様があったことに気づかされます。

果たして「better sister」優れた娘(姉/妹)とは誰を指す言葉なのか、考えさせられます。


本当に、クロエの人生の岐路となるどの場面をとっても、「思ってもみない展開」でした。

作品を読む前の筋書きを確認するところから、読者の私は「???」と戸惑ってしまったのは事実。

だって、頭で考えると、自分の姉と昔夫婦だった人と恋仲になって、やがて結婚するということだし、めちゃくちゃ気まずい。

実際、作中では、離婚後にクロエの住む近くに引っ越してきたアダムと幼いイーサンのところにサポートへ行くクロエの姿に、彼女の母親が注意する描写が出てきます。

イーサンの叔母として、かつての義理の妹として始めは接するクロエですが、人間の心はコントロールできませんから、ふとしたことで二人の関係は恋に発展してしまったのですね。

そんなアダムとの結婚生活も、やがてイーサンへの教育方針や、クロエがイーサンを正式に養子縁組していない点から、本当に少しずつ歪が出てきてしまいます。

様々な事柄が重なり合い、アダムの死に対し、クロエは事件性を疑っていくようになります。

どの場面も「こんなはずではなかったのに」という事柄が関係していて、一つずつ紐解いていくと人生って思うようにいかないことの連続だなと思わされます。

果たして誰がアダムを手に掛けたのか、そして、重要参考人として警察署へ連れていかれたイーサンの運命は、という謎を一つずつ、確実に解いていきたい作品になっています。


本作はAmazon Primeで放映されているようなので、書籍と合わせて楽しむことが出来ます。




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