Author: Elizabeth Gilbert
翻訳版の有無: あり。「食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探求の書」
映像化: あり「食べて、祈って、恋をして」
英語レベル: Advance(一年に一冊洋書を読了できるレベル)
この本を読むと、「何事も自分が自分と繋がっていると物事がスムーズに進むと気づける」というベネフィットを得られます。
私がこの作品に出会ったのは、2010年ジュリア・ロバーツ主演の映画が世にリリースされた頃。
リリース当初に観たか、数年経った後に観たかは覚えていませんが、鑑賞当初に感じたことは覚えています。
「私、これ嫌い」です。
それもそのはず、作者ギルバート氏がつらい離婚とその後に発生した恋愛の破局を経験し、その後にセルフケアする内容なので、楽しいはずがありません。
2010年なので、現在の自分より10歳以上も年齢が若い私が、楽しいと思うはずがない作品なのです。
それが今になってなぜ洋書に挑戦したかというと、半分は意地、半分は私もギルバート氏がつらい出来事からどうやって立ち直ったか、その過程を知りたかったからです。
主人公は作者であるギルバート氏で、誰もが羨む結婚生活を終わらせ、失意の中で自分探しをし始める物語というのが本作品の流れ。
一年を掛けて、イタリアで思い切り食を楽しみ、インドで自分の心と繋がり、インドネシアで欲と精神のバランスを取るというもの。
今回読んだ時に、好きなことだけを実行して終わり、では留まらないギルバート氏の心意気に共感が出来て、強い女性だなと感じました。
この自分探しの旅を始めた頃のギルバート氏は、自分自身を愛していませんでした。
ある日結婚生活のすべてがダメで、つらくなったギルバート氏は夜に自宅のトイレで激しく涙していたとのこと。
そこで初めて神様に祈り、自分を導いてほしいと訴えかけます。
その訴えをしたことで、いわゆる"higher self"という今の自分より少し精神レベルが上の存在から「まずは眠りなさい」と声を掛けられたところから、その日は正気に戻り、やがて離婚を訴え出ます。
作品の表面だけみると、おそらくギルバート氏は他人の存在によって自分の心を満たしていたのでしょうね。
離婚後には新たな恋をするのですが、この恋のパートナーにのめり込むタイプの恋愛をし、自分を持ち崩していきます。
この前半のぐだぐだなギルバート氏の姿から、今回のベネフィットである、「自分自身と繋がること」がいかに大切か実感します。
夫そして恋人の存在で自分を満たすがために、自分の快不快がわからないギルバート氏。
自分の機嫌が取れない人が、幸せな気持ちになれるはずがありません。
相手の一挙手一投足によって気持ちが揺れ動く、ということは誰にでもあります。
私も経験あります。
最も心を揺らがせるのは両親、特に母親なのではないでしょうか。
その揺らぎをどうやって鎮めるかは、自分のご機嫌の取り方次第です。
自分はどういう状態が好きで、何によって心が揺らいで、何をすることで気持ちが落ち着くのか。
こういった取説は持っておいた方がいいですね。
さて、ギルバート氏ですが、物語が進むにつれてちゃんと自分と繋がっていきます。
離婚後の傷の癒えもそこそこに恋人が出来て、その恋も壊れている状態の前半パートであるイタリア編は、どんなに彼女の友人との楽しそうな食事シーンやイタリア語に触れるシーンもあまり心がわくわくしませんでした。
一方で、自分と繋がっていくインド編は、彼女が少しずつ強くなり心が落ち着いていく姿が見られて心地よいですね。
ここ数年、特に新しい生活様式へと変化した2020年頃以降は、たとえ心の揺らぎがあっても、自分に戻ってこられる強くしなやかな女性達と知り合っているので、ギルバート氏が心穏やかに強くなっていく過程が書かれたインド編は、私の好きな章です。
ぐだぐだの弱い自分もまるっと受け入れて、強くなる女性の姿は綺麗だなと改めて思います。
(はい、インド編のギルバート氏にそう思いました。)
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