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Book Report: Eye for an Eye

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 5 時間前
  • 読了時間: 3分

Author: Erika Holzer

翻訳版の有無: なし

映像化: あり。「レイジング・ブレット」

英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)


「その復讐の果てに何があるのか」


本作を映画で観て知り、そのテーマの重さに考えさせられ、普通とか平凡の大切さを再認識しました。

だって、テーマが復讐ですし、その復讐を通じて知るはずのなかった世界に飛び込むことになるのですが、いろいろ天秤にかけるとやはり普通とか平凡の方がいいと思わされました。

映画版は、主人公が彼女の家庭を壊した犯人への復讐に焦点を当てていますが、原作は主人公が彼女の家庭を壊した犯人への復讐を経て、世にはびこる犯罪を成敗する組織に身を投じる筋書きになっています。

よってもって、主人公が組織の中で悪と向き合う人間に描かれていきます。


主人公カレン(Karen Newman)の人生が一転したのは、彼女が娘サラ(Sarah)と電話中に、サラが応対した見知らぬ来客から暴行を受け、殺された時から。

電話越しにその凶行を耳にしたカレンにとって、それは地獄の時間でした。

彼女に起きる悲劇はこれに終わらず、サラが危機に陥っている時に傍にいてあげられなかった罪の意識から、サラの夫ピーター(つまりカレンの義理の息子)まで死を選んでしまいます。

本来なら、若い夫婦がこれから家庭を築いていく様子を傍で見守るはずだったカレン。

二人に子供はなく、そしてサラがカレンの一人娘だったことから、カレンの未来は永遠に閉ざされてしまいました。

絶望の中でカレンに声を掛けたのは、サラの葬儀の時に運転手を務めたケーガン(Kagan)と名乗る男性でした。

彼は犯罪に対する自衛団Victims Anonymousのリーダーを務め、カレンを引き入れようとします。

表立った組織は一般市民のカレンを犯罪現場に巻き込むわけにはいかず、怒りに満ちたカレンの無念が晴れるわけではなく、一方のVictims Anonymousに関わることで、カレンはサラを手に掛けた犯人と対峙する機会を与えられます。

哀しみの中でもがくだけのカレンが自衛団に所属することで、その怒りを消化するすべを得られるのですが、そこが自衛団であること、組織に入ることでその駒としての使われる役割を強要されること、そして娘も義理の息子も戻ってこないことを突きつけられる虚しさを感じるカレンの葛藤が描かれています。


知らない世界に飛び込む、というのがポジティブな行動だったらどんなによい、モチベーション爆上がりの作品となったことか。

カレンが悪に立ち向かっても、亡くなった人は戻ってこないという悲しい事実があり、物語を読み進めるのも少しつらかったです。

作中、カレンは精神科医のジム(Dr. James/Jim Coyne)と出会い、彼と一時交際する関係にまで発展するのですが、誰かと恋愛関係になっても仲が深まらないのは大事な人を失った悲しみがまだ癒えないから。

それでも自衛団と関わりを持ったことで、犯罪に対する制裁を加える活動に力を入れていきます。

終わりの見えない活動と、終わりの見えない傷を癒す行動に、読者も鬱々としながら読み進めていくことになります。

何事も平凡で普通なのは尊いことですね。



ree

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