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Book Report: Little House on the Prairie

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 1 日前
  • 読了時間: 3分

Author: Laura Ingalls Wilder

翻訳版の有無: あり「大草原の小さな家」

映像化: あり。「大草原の小さな家」

英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)


「新しい環境が最適とは限らない」


今日時点で新天地で生活する私がこんなことを発信するのは、夢も希望もあったもんじゃないのですが。


引っ越しを経験したことがある方はお分かりかと思いますが、新しい環境に移る時にはうきうきするものです。

不安もありますが、やはり新しいことを始める時は何かと気分が浮足立ちます。

ただ、必ずしもその新天地が希望に満ち溢れた、素晴らしい所であるとは限らないのです。

本作では、新天地に飛びこんだある家族が、これまでに味わったことがない緊張を味わう物語になっています。


前作で繰り広げられた生活を捨て、新たに西へと引っ越しすることにしたインガルス一家。

近所に人が多くなってきたことが引っ越しの理由でした。

新しい環境に移ることに浮足立つ主人公のローラとその姉メアリーでしたが、新天地には先住民であるインディアンの部族が多く生活していました。

先住民との緊張を知らない幼いローラは、インディアンに会えることをポジティブなこととしてしかとらえていません。

これまで交流したことがない部族と交流が持てることに、楽しみを覚えていました。

しかし、大人達の反応は異なります。

特に父は、興味本位で先住民と関わり合いを持ちたがるローラをたしなめます。

メアリーはローラより年上であり、従順な性格をしているようで、物事をすんなり言われるがまま受け入れる気質のようですが、ローラは常に疑問や興味を持つ子供です。

インディアンと交流したい気持ちも幼心から来ることでした。

家族を守りたい父の気持ちを理解するローラは、自分の好奇心を抑えながら父の教えを守りますが、生活をしていれば予期せぬ出来事にも遭遇します。

本作での見せ場の一つに、インガルス一家とあるインディアンとのやり取りがありますが、この緊張感を経験したローラが自分が置かれた現実世界を意識する瞬間になります。

おそらく、今後の彼女の成長に影響を及ぼす場面だったと思うので、このシーンは私もはらはらしながら読み進めました。


先住民族と、歴史をたどると異国から海を渡ってきた人たちの末裔。

アメリカの歴史背景を知っていれば、部族同士で何があったのかも予想できます。

そこから時が経ち、ローラが生きる時代に移ったとはいえ、先住民族と元をただせば異国の民である人々の間には、緊迫する関係性がありました。

私も人生のうち、新天地に移ったことが何度かあり、移動時は不安がありつつも期待が上回っていました。

生きる国の違いもあり、カルチャーショックを受けたこともありましたし、日本国内での引っ越しも経験し、同じ国でも地域ごとに習慣の違いや食べ物の違いもあって、驚いたこともあります。

今の時代は、同郷の人達の交流だけでなく、国を超えた人同士で家族になるパターンもあるので、様々な発見や衝突もあるかと思います。

本作で、ローラたちは決して不幸になったわけではありませんが、先住民族との緊張感を描くシーンを読んだ時に、緊張感を持って接しなければならない相手が近くにいる生活が果たして幸せなのだろうかと考えさせられました。

旅行で異文化を感じるのと異なり、生活は毎日の事です。

幼い姉妹が安全に過ごせるようになるといいなと感じました。


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