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執筆者の写真Masumi

Book Report: Forrest Gump

Author: Winston Groom

翻訳版の有無: あり「フォレスト・ガンプ」

映像化: あり。「フォレスト・ガンプ 一期一会」

英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)

※続編にGump and Co.(フォレスト・ガンプ2)があります。


この本を読むと、「流されても自分の居場所を確立できる」というベネフィットを得られます。


第二の故郷、アメリア・アラバマ州を舞台にした物語である本作は、私、無視できません。

昔から好きだった「フォレスト・ガンプ」に原作があることを知ったのはつい最近のこと。

調べれば、映画は原作を大幅に改変したとありましたが、大事なエピソードはちゃんと残っていて、結論としてどちらも楽しめました。

どちらの作品にも言えますが、総じて、自分にとってネガティブに効いてしまう性質を持っているために世の流れに流されても、ちゃんと自分の居場所を確立できる強さを人はみな持っているのだと、気づかされる作品です。


主人公のフォレスト・ガンプは知能が一般の人と異なり、浮いた存在。

あとからわかりますが、彼はサヴァンと呼ばれる部類の人で、一つのことを極めるには適する特長を持ちますが、いわゆる「一般」ではありません。

そのため周りからは馬鹿にされて育ちます。

そんな彼ですが、先述したように一つのことを極めると途端に爆発的な才能を発揮する人なので、周囲の人を惹きつけます。

その結果、必ずチャンスをものにします。

例えばハーモニカの演奏が得意でバンドのソロを演奏するようになったり。

足が速く大学のアメフト部に所属し、試合で活躍したり。

チェスや卓球も腕はピカイチ。

宇宙にまで行き、そこで遭遇したトラブルからジャングルでの生活を余儀なくされたり。

とにかく、いわゆる「一般」であったなら送ることはない経験を、フォレストはすることになります。


彼が「一般」でないことで、うまく周囲と馴染めないという欠点はあるものの、彼は自分のその欠点を認め、むしろ「自分はidiotだから」と作中、人に伝えることで自分の道を開いていったフォレスト。

「一般」であろうがなかろうが、彼が持つ能力を評価する人達はちゃんといて、彼にチャンスを与えてくれます。

その欠点に対して卑屈になることなく、自分の居場所を作り上げるフォレストはまさに強運の持ち主です。

そんな彼の心の支えになるのは、小学校の頃に知り合った同級生のジェニー・カラン(Jenny Curran)。

アラバマ大学で再会し、彼女が所属するバンドでフォレストもハーモニカを吹くようになり、距離が縮まりますが、やがて不和により彼女とは別れます。

何度となく出会いと別れを繰り返し、そのたびにフォレストは人との出会いでチャンスを得て、反対にジェニーは自身の挫折とフォレストを見守ることしかできない立場にやがて「安定」や「落ち着くこと」を見いだせず、彼から離れていきます。


どんな出来事があっても、自力で自分の居場所を確立するフォレストと、そんな彼を傍で見守ることしかできず、その間に彼に頼るだけでなく自分の居場所を作る努力もしないジェニーの対比は、面白いです。

正直、「一般」の人であるはずなら、ジェニーの方が社会での生きづらさはフォレストより少ないはずなのに、不思議です。

実は、結果としてフォレストに頼る人物はジェニーだけではありません。

軍で従事した時代に知り合ったダン中尉も、戦争で負傷した後、生きる意味を見いだせず彷徨う人生を送り、たびたびフォレストと再会しますが、彼もフォレストに力を貸すことになります。

例えば、フォレストはプロボクシングの世界にも足を踏み入れるのですが、その時に彼をマネージしていたのはダン中尉でした。

彼も確かにフォレストの行動に左右されますが、彼にはちゃんとフォレストをサポートする役割があるので、必要な人間なんですよね。

想い人、恋人という立場であっても、ジェニーのふわふわと足元が落ち着かない関係はやはり目立ちます。


たとえ自分に見えない何かの力によって流される人生を送っていても、人はその場で求められた役を演じると、知らずとそこで必要な存在になっていくのですね。

本作を読んで改めて感じました。

でも、作品としての物語の締まりは、映画の方が好きです。



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