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執筆者の写真Masumi

Book Report: Friends and Rivals

Author: Tilly Bagshawe

翻訳版の有無: なし

映像化: なし

英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)



この本を読むと、「知らず知らずのうちに友達を羨んでしまうのは、よくあることと納得してしまう。」というベネフィットを得られます。


・・・とはいえ、この作品に登場する人達、皆に対して思わず「幸あれ~幸あれ~」と願ってしまったのですが。

別にひどいとか、そういうネガティブなことを言うつもりはありませんが、冒頭のエピソードだけ読むと、皆報われないなと感じてしまいます。

(最後はちゃんと大団円を迎えるという、壮大なネタバレを残して紹介します)


大学時代からの友人であるアイヴァン(Ivan)、カトリオーナ(Catriona)、ジャック(Jack)は、音楽事務所ジェスター(Jester)を共同経営する経営者二人とその妻という関係。

アイヴァンとカトリオーナ夫妻には二人の子供がおり、一方のジャックは数年前に妻ソニア(Sonya)を病気で亡くしています。

順風満帆そうに見える夫妻ですが、カトリオーナはアイヴァンが過去に浮気したことを受けて、心の傷を癒す途中におり、一方のアイヴァンは過去の浮気に向き合いセラピーに通うもそのうち彼がプロデュースするヴァイオリニスト、ジョイス・ウーと体の関係に。

大切な友人であるカトリオーナを陰で傷つけるアイヴァンに嫌気がさすジャックですが、彼が何とかアイヴァンとのビジネスパートナー関係を保っていられたのは、彼が担当する期待の新人ケンダル・ブライス(Kendall Bryce)が問題児だから。

問題児として振舞うケンダルですが、実は彼女の心はとても繊細で、意地っ張り。

父親との関係がうまくいかず、年の離れたジャックに対し父親の愛情を求めているのです。

彼に褒められたくて、また認められたくて、好きでもない男性と体の関係を持ち、薬物にも手を出してしまうという素行の悪さですが、ジャックはケンダルの歌手としての才能を認めており、ずっと見守ってきました。

ですが、ケンダルは自分の力をジャックに認めてもらおうと、彼に相談なくアイヴァンが持ち込んだ別の音楽事務所との契約にサインしてしまいます。

ジャックはアイヴァンに、自分の仕事を横取りされたと同然で、これまでの鬱憤からジャックはアイヴァンとライバル関係に。

失意のケンダルは、唯一彼女に手を差し伸べてくれるアイヴァンに頼り、やがて彼らは不倫関係へ。

ジャックとアイヴァンとの間にできた対立関係故に、ケンダルは巻き込まれた格好で家庭を壊し、ジャックからも嫌悪され、彼女を密かに恋するジャックに雇われたカメラマンのレックス・アブラハム(Lex Abraham)の信用と友情も失います。

ケンダルはアイヴァンが有する事務所の看板歌手へ。

ジャックも、アイヴァンと立ち上げた事務所ジェスターから離れ、新たな事務所を立ち上げ、その看板歌手としてアヴァ・ベントリー(Ava Bentley)を要します。

長年の友情が崩れ、ライバル関係になったジャックとアイヴァンの対決の火ぶたが、二人の歌手生命をかけて落とされるのです。


いや、本当に冒頭は皆、報われません。

事の発端のアイヴァンも尊大で仕事が出来る男性として描かれますが、心の底では実は嫉妬深く、ジャックへのライバル心を常に持っていました。

ジャックはこれまでの音楽業界の歴史を重んじて、ツアーや音楽に力を入れたいという慎重派です。

一方のアイヴァンは、特にテレビのバラエティー番組に出演してメディア露出をして売り込みたい新しい考えのタイプ。

しかもアイヴァンは人の懐に入り込むのも得意なタイプで、ジャックが新たな音楽事務所を立ち上げた際に苦労しますが、この人の懐に入り込むのが苦手なために、当初は中々仕事を獲得できませんでした。

一方、物語に登場する女性達も、自分というものがないのが特徴的です。

ジャックとアイヴァンの対立関係から、注目されるのはカトリオーナ、ケンダル、アヴァですが、実はこれに加えて、アイヴァン要するバンドThe Blitzボーカリストの妻、ステラもこのライバル関係に徐々に巻き込まれます。

彼女は盲目的に夫を愛していますが、夫は浮気者(この作品、何人の浮気男を登場させるんだろう)。

彼の素行を知らないうちは、ステラは頭の悪い、おめでたい女性という印象でしたが、やがてつらい現実を目の当たりにすることで、自立した女性へと生まれ変わります。

彼女がカトリオーナ、ケンダル双方によいサポートをする様子にほっこりします。

ないものねだりをして、相手を羨んでしまう様子がどこかしこに表現された本作。

付き合いの深い友人が、実は一番のライバルになってしまう、という構図はよくありますが、自分にないものにフォーカスしてしまうとこういったライバル関係になるお話が生まれてしまうのですね。



そして、本作はもう十年以上前にアマゾンで見つけて気になっていたのですが、どういうわけか購入していませんでした。

気になって調べたら購入可能だったので、買って読んでみた。

結果、面白かったです。



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