Author: Nic Stone
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: AdvanceよりのBasic(英語に一日3分向き合えるレベル)
この本を読むと、「あなたは無力かもしれない。けれど行動はいつか結果に繋がるのだと気が付ける」というベネフィットを得られます。
私は成人年齢を過ぎ、今のところ安定したお金を稼ぐ力を持っていますが、一般的に「子供」はどうでしょうか。
本作はすごく面白いプロットなのだけれど、子供を取り巻く環境の儚く危うい点が詰まった作品だなと感じました。
ヘイゼルとグレイは同じ高校に通う同級生カップル。
そして、父親のポジションにいる男性から虐待を受け、トラウマを持つ子供という、悲しい共通点がある二人です。
グレイと彼の家族はその被害から逃れて、新しい生活をスタートさせたばかり。
ヘイゼルは今まさにその被害を受けている状況です。
逃げたくとも、二人は子供。
まるで現実逃避をするがごとく、ピクニックに出かけて、刹那の恋人の時間を過ごします。
そして気づいた時には深夜を迎えた二人。
彼らは明かりが灯り、出入りの激しいある怪しい家にたどり着きます。
高額な車を乗り回す人々、体のラインを明らかにする服装の女性達。
まるでお菓子の家に惹かれた、あの有名な兄妹のように危うい二人は、新たな危険に身を投じてしまうのです。
ヘイゼルとグレイは、確かに学生という立場のため、親元から離れるのが難しく、お金を視点にすると二人とも弱い立場にいます。
その弱者の二人ですが、とはいえ何も出来ないかと言ったらそうではありません。
二人は、お互いの関係を守るために、ヘイゼルの父親の立場の男性を欺きます。
別れた振りをして、普段は離れて学校生活を送りますが、このピクニックは上手に父親の目をかいくぐることが出来ました。
また、深夜に見つけた怪しい家に入り込んでしまい、ピンチに陥るのですが、誰かに助けられることを待つのではなく何とか二人で知恵を絞って脱出を図ろうとします。
怪しい大人達の手から逃れようとする二人の姿勢は、まさに「子供と侮るなかれ」。
誰かに手を差し伸べられるまで自分を解き放つことが出来ないパターンも、確かにあります。
彼らの立場も、確かに誰か第三者の大人が助けてあげた方が良いと思わせるものかもしれません。
ですが、彼らは今ある自分達の力を何とか危機を逃れようとします。
シンプルなプロットながら、少し後味の悪さを始終孕みながら、二人は自分達の自由を追求するのです。
それには行動あるのみ。
二人の未来が明るいか、それとも否か、最後まで読んでいただき是非確認していただきたいと思います。
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