Author: Gayle Forman
翻訳版の有無: なし
映像化: あり「イフ・アイ・ステイ 愛の還る場所」
英語レベル: Advanceレベル寄りのBasic(洋書に一日3分向き合える)
この本は、こんな人達にオススメします。
・最も悩ましい二択のうち、片方を選ばなければならない人
・どんな形でも大事な人に傍にいてほしい人
・音楽が好きな人
ほんの数秒前まで、「普通」や「当たり前」といった言葉の定義を考える必要のない生活を送っていたあなた。
でも、次の瞬間に、その状況が一変してしまったら。
そして、その「普通」や「当たり前」側にいないことの方が、そちら側にいることより一見たやすいと思ってしまう場合、あなたはどんな選択をしますか?
それを問いかける作品が、このIf I Stayでした。
主人公のミア(Mia)はオレゴン州に住む高校生。
雪により臨時休校、臨時的にお休みとなった一日に、この休みを利用して会っていない親戚巡りをするために、一家四人で車で出かけたところに交通事故に巻き込まれます。
何気ない冬の一日が一変してしまう。
そして、人生で最大の選択とも言える選択を迫られるのです。
Stay or let go.
つまり、交通事故に巻き込まれて昏睡状態になるミアは、生きるか死ぬかの選択を潜在意識化で迫られるのです。
一見、生きることを選ぶ方が良いに決まっていると読者の立場の私は思いました。
生きていれば何でも出来る。
本当にそのとおりです。
でも、生きることはミアにはつらすぎました。
バンドを通じて知り合った両親の元に育ち、自身もチェロを演奏するミア。
名門ジュリアードへオーディションし、入門はほぼ決まっています。
彼氏のアダムは地元のロックバンド「Shooting Star」のリードボーカルで、地元バンドから世界的なバンドへの成長期に立ち会っているため彼との関係性を見つめなおす時期ではありますが、若く将来有望な彼女なら、事故から奇跡的な生還を果たす方が幸せになれると読者なら思ったはず。
ですが、その生きる選択はつらいことも含むのです。
この事故、相手の車両側がスリップして一家の車に突っ込んできたようで、先方は無事でしたが、ミアとミアの家族はクリティカル。
潜在意識化にあるミアは、肉体と離れたところで佇み、治療を受ける自らの体や家族の行く末を見届けるのですが、生きるといいうことは本当につらい現実が待ち受けているのです。
就職先が決まっているわけでもなく、自分が生まれ育った家族以外に自分が作った家族(配偶者と子供とか)はいません。
まもなく高校卒業の年齢とはいえ子供のミアは、生きることになるとそういう厳しい現実を受け入れなければならないのです。
いくら彼女には叔父叔母や(伯父伯母かもしれないです)、従兄弟や、祖父母がいるといっても、彼女はひとりで向き合わなければならなくなってしまったのです。
それでも生きるか。
それとも、すべて手放すのか。
本作品はシリーズものだったので、購入時にその時点でIf I Stayの結末は予想できました。
しかし、次回作もレビューを読む限り、主人公は決断をせざるを得ない状況になるのだと思わされます。
それも、二択のうち片方を。
ミアが選んだ選択はどのような未来をもたらしたのか。
If I Stay.
もし私がこの地上に残って、生きることを選んだら。
そりゃ、祖父母や叔父叔母(伯父伯母かもしれない)、従兄弟、恋人、友達は、その時は喜ぶでしょう。
私も客観的な立場なら、Stayが良いに決まっています。
ただ現実問題、直面しなければならない現実をも含めたうえで、ミアが出した決断をこの作品を読んで確かめていただきたいです。
本作品とは関係ありませんが、個人のInstagramアカウントで月にまつわる月一インスタライブを始めたからか、洋楽に敏感になっています。
本作品If I Stayは、Maneskinの"The Loneliest"かZedd, Alessia Caraの"Stay"を聴きながら読んでほしい。
なんて。
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