Author: Hector Garcia, Francesc Miralles
翻訳版の有無: あり「外国人が見つけた長寿ニッポン幸せの秘密」
映像化: なし
英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)
この本を読むと、「生きるための情熱を再認識させてもらえる」というベネフィットを得られます。
生きがいという言葉を聞いた時、これが自分が十代の時には、仕事の第一線から引退した人達が老後を楽しむ時に使う単語だという印象を持っていました。
そこから随分と年月も経ち、自分が年を重ねたことと、時代の考え方が変わったことで、生きがいが持つ言葉の印象も変わりました。
この言葉は、年齢や性別に関係なく、生きるための情熱を再認識させてもらえる言葉です。
本作は、ブルーゾーン(blue zone)=健康で長寿な人達が数多く生活する場所の一つとして紹介された、日本の沖縄県大宜味村に取材に行った著者達が、生きがいについて書いた作品です。
ブルーゾーンとされる地域は、日本沖縄県の他にもいくつかありますが、本作でピックアップされたのは日本。
ここに住む人達の長寿は何か、を著者達が取材のため現地を訪れ、その秘密を探ります。
大宜味村に住む人達は、お年寄りが多いです。
でも、本作に出てくるお年寄りは、一般的に受ける「お年寄り」の印象を覆すような人達が多いです。
文字という動きがわかりずらい媒体からでも感じられる、インタビューを受けた地元の人達の生き生きとしたエネルギーは強烈でした。
それは、大宜味村に住む方々が生きがいを持っているから。
彼らが持つ生きがいは、数々あります。
畑仕事をすること、食べること、朝起きて仏壇に手を合わせること、所属するコミュニティーで活動すること、ご近所さんと話をすること。
彼らの生きる情熱は大袈裟なアクションではなく、身近に感じられる事柄ばかりです。
本作を読んで私が思いだしたのは、私がメンターの一人として尊敬する鴨頭嘉人さんが、ご自身がボスと慕うかつての上司から言われた言葉でした。
「お前は何のために生きているんだ?」
鴨頭さんは、ご自身の上司から初めてこの言葉を掛けられた時に言葉に詰まったそうです。
一応回答は出来たようですが、残念ながらその回答は上司が納得する言葉ではなかったようです。
それから何度か同じ質問を上司から受けたようですが、数年経ってからようやく上司が納得のいく回答を出来たとのことです。
それは、上司からその質問をされるまで、鴨頭さんは自分がなぜ生きるか考えたこともなかったからだとおっしゃっていました。
このエピソードを、彼の動画配信チャンネルでお話されていましたが、私もこの動画を観た時「私も考えたことない!」と反省したのを覚えています。
何のために生きるか、というのはつまり、何に対して情熱を注ぐかということ。
これまで私達は、なぜ生きるかということに対しあまり重く考えたことがなかったと思います。
私の両親は、生きるために安定した収入を稼ぐことが大事だと信じる人達です。
そういう価値観がよいとした時代に生きる人達でした。
つまり、生きるために稼ぐ仕事に生きがいは不要でした。
安定した収入を得られ、家族を養うことが至上とされていました。
でも最近は時代の流れが変わってきています。
なぜ生きるか、自分がどうありたいか、ということをよく考えて生きることがよいとされる時代にシフトしてきています。
つまり、仕事も生きがいを感じられることに繋がっている方が良いです。
生きがいにならなくても、生きるための資金を得られるなら良し。
生きがいのために使える資金が得られるならそれでもok。
いわゆHave toとWant toが並行してバランスが取れていると良い時代です。
自分が輝くには何をするのか、ということを周りから受け入れてもらえると、私達は生きやすいですね。
本作は自分達の生きがいは何か、ということを問いかけてくれる作品です。
生きがいという壮大なテーマに対し、決まった答えが出ない場合は、まずは自分が何が好きか、何が好きではないか、探るところから始めるとよいかもしれません。
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