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Book Report: Kermit's Adventures: A Tale of Trust and Friendship

執筆者の写真: MasumiMasumi

Author: Javier Negrete

翻訳版の有無: なし

映像化: なし

英語レベル: Basic(英語に一日5分触れられるレベル)



この本を読むと、「親しき仲にも境界線は必要と理解出来る」というベネフィットを得られます。


私は猫が大好きです。

昔は品種によって好き嫌いがあり、その当時はスフィンクスというエジプト原産の毛のない猫や、エキゾチックショートヘアという顔が特徴的な猫はあまり好みではありませんでしたが、今ではこの品種の猫も含めて全般的に好きです。

そんな猫好きの私はSNSがきっかけで、オレンジの長毛種の猫の動画と出会いました。

それがオレンジのラグドールのカーミット(Kermit)。

カーミットといえばマペットショーに登場するカエルが有名ですが、このキャラクターを取ったのがこの猫さん。

飼い主はアメリカ西海岸に住み、そこから彼の飼い猫カーミットの発信をしています。

この飼い主さんの家にはカーミットのほかに、彼と同じ時期に引き取られたシャイな猫フリーダ、おとなしいミニチュアシュナウザーのセバスチャン、元気いっぱいな若いシェパード?のハーシーがいます。

飼い主さんは、飼い猫のカーミットを題材に、ほかに二冊の本を出版していますが、どちらも紙媒体での購入だったため買えず、今回、本作が電子媒体でも提供されていたため、

購入に至っています。

残りの二冊もぜひ電子版で読みたい。

 

さて、本作のテーマは自分と相手のバウンダリーについて。

つまり、パーソナルスペースのお話をしています。

近年、自分と相手の境界線を持つ大切さをうたう自己啓発などの学習が多く出ているかと思いますが、人の教育、特に子供の教育にも必要とされています。

本作の物語は、カーミットの飼い主であるキャットダディ(猫を飼う人のことを、愛情をこめて呼ぶときにキャットダディ cat daddy、キャットマミィ cat mommyと使います)から、自分と相手との境界線を持つ大切さを教わります。

それは許可なく相手に自分を触らせない、あるいは許可なく自分から相手を触らない、というフィジカルな触れ合いに焦点を当ててお話しします。

それ以外にも、自分の境界線の中に相手が無断で入ってきたら、不快であればNoと言っていい。

カーミットはのんびりとキャットダディの話を聞きました。

ある日、新しく友達が出来たカーミットは、自分の境界線を侵されてしまいます。

と、物々しく書きましたが、新しくできた友達に触れられるのですが、そのことについて、丁寧に優しく断り入れること、そして触るのではなく別な遊びをしようと提案し、自分の境界線の中に相手を入れないようにします。

はっきりと「触らないでください」とか、「触られると不快です」とか、確かにカーミットはそういう気持ちになっているのですが、ネガティブなことをストレートに伝えて相手を傷つけるのではなく(特に、相手に悪気があって境界線を侵入したのではない)、自分は境界線の中に入られるより違うことをしている方が心地よいのだとポジティブに伝えるカーミットの姿に勉強させられます。

いやなことに対して感情的にならず、Noを伝えながらも代替案を提案して、相手とヘルシーな関係を築こうとするその姿が秀悦でした。

自分の快不快がわかっていなかったり、不快を理解しながらも言葉でどう伝えていいかわからないと、相手を傷つけてしまう場合もありますからね。

(故意に触ってきたのならまだしも、今回は故意ではないので。)

そして、新しい友達も、カーミットの意見を尊重してくれます。

 

人の目を気にしたり、自分の意見を通したことで相手がどう思うか、人は気にしてしまうことが多いと思います。

相手を慮る、というやり方は美しいですが、自分の気持ちを蔑ろにした状態で相手を尊重するというのは、うまくいきません。

自分だけが我慢しているのだから、健全な人間関係を築くことができません。

日本人は、とくくってしまうことがいいことかわかりませんが、和・輪を尊ぶことが長かったので、相手の目を気にして自分の意見を伝えられない場合が多いかと思います。

本作は、相手の気持ちを傷つけずに自分の意見を伝えるにはどうすればいいか、自分の気持ちを丁寧に伝える方法、というノウハウもさることながら、自分の快を主張しても問題ないことを教えてくれています。

大人も子供も楽しめる配色や、リズミカルな言葉選びに、物語の中身がすっと入ってくること間違いなしです。



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