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執筆者の写真Masumi

Book Report: Legally Blonde

Author: Amanda Brown

翻訳版の有無: なし

映像化: あり「キューティブロンド」

*映画版の続編として「キューティ・ブロンド ハッピーMAX」、スピンオフとして「キューティ・ブロンド3」があります。

英語レベル: Advanceレベル寄りのBasic(洋書に一日3分向き合える)


この本を読むと、「きっかけは最悪でも、物事は必ず自分を高める糧になると実感出来る」というベネフィットを得られます。


海外作品ではたまに見かける、ブロンドジョーク。

日本人にはあまり馴染みがないですが、「ブロンド女性は天然」というような皮肉を生んだのはマリリン・モンローが大きく影響しているようにも思えます。

いや、決してモンロー演じるローレライ・リーは、天然だけで済む女性ではなかったですけど。(「紳士は金髪がお好き」より)


今回紹介する「Legally Blonde」も、ブロンド女性のエル・ウッズ(Elle Woods)が主人公。

バービー人形が人間になったがごとくの大学生で、お洒落に精通し、恋人ワーナー(Warner Huntington III)と並ぶと絵に描いた美男美女カップル。

そんな彼女の未来は、ワーナーと結婚して幸せな家庭を築くことだったのですが、ワーナーの理不尽な理由により関係は破局を迎えます。

ワーナーはスタンフォード大学へ編入し、法律を勉強する道へ。

残されたエルも、彼を追いかけてスタンフォード大学へ編入し、法律の道へと進みます。


ワーナーがエルを捨てた理由は、「今は自分の未来を見据えて真面目になる時。傍にいる女性も真面目な人がよい」とのこと。

こんな言葉を恋人だった人に掛けられたら悔しいし、傷つきます。

普通に考えて、そんなことを言う人を追いかけて大学を編入するかなとも思いますが、エルは持ち前のポジティブな思考から編入してしまうんですよね。

(スタンフォード大学にぽんと編入出来ちゃうから、エルはすごい。)

ワーナーと同じように法律の道に進んで、活躍出来たら、彼にもう一度振り向いてもらえる。

エルの法律の道のスタートは、ワーナーでした。

本来、法律に興味のないエルのことを知っている母エヴァ(Eva)や、友人のマーゴット(Margot)とセレナ(Serena)からは、スタンフォード大学への編入することを考え直すよう心配されますが、ワーナーへの気持ちが覚めないエルは猛勉強します。

努力の甲斐あって編入出来たエル。

でも、スタンフォード大学へ訪れた彼女には厳しい現実が待ち受けます。

ブロンドだからということより、法律の道に進む人べきからぬ雰囲気や態度のエルに、周囲から浮きまくって冷ややかな目を向けられる始末。

しかもワーナーからサラ(Sarah)という婚約者を紹介されてしまうエル。

彼の言う「自分の未来を見据えて真面目になる時。傍にいる女性も真面目な人がよい」が、既に傍にいたのです。


自分の将来を見据えてアクションを起こす時、大抵は「自分がどんな道に進みたいか」という動機から始まりますが、エルの場合はワーナーが自分の元に戻ってくれるかもしれないという、自分の人生を完全に相手任せにしていました。

始まりは相手から。

でも、エルは途中から薄々感じます。

ワーナーはもう振り向いてくれない、と。

読者として物語が進むにつれ、ワーナーがいかにエルを大切にしていないか、明らかになっていきます。

ですが、自分が何を大切にするのか向き合った結果、エルの法律に対する態度も変わっていきます。

大学の授業を進めるにあたり手助けしてくれる、匿名のガーディアン・エンジェル登場や、同じキャンパスで知り合った学生のユージニア(Euginia)の存在もあり、エルは大学に居場所を作っていくのです。

そして、彼女の運命を変えることになる、Vandermark trialに身を投じていきます。


映画は原作に忠実に描かれていますが、オリジナルの設定を盛り込んだり、小説に登場する人物・エピソードもいくつかカットしているので、それぞれ別個のものとして楽しめます。

どちらも共通して言えるのが、エルがワーナーありきで物事を考えることを辞めてから、大学生活も楽しめている印象を受けました。

やはり何事も自分がどうしたいか考え、行動し始めてからが楽しくなる。

もちろん、誰かを満足させたいことがきっかけであっても良いのです。

でも、それは「自分がそうしたいから」と自分の責任範囲で行うべき。

人生の舵取りは自分で行うこと、を見事に体現した気持ちが前向きになれる作品です。


そうそう。

ここで一つ単語の補足をば。

Legally blondeは直訳すると「法的にブロンド」になります。

エルは法律の道を進むブロンド女性なので、エルのことを指す言葉になっていますし、また作中、彼女はブロンドとはどういう人のことを指すかというエッセイ(課題)を書いて提出します。

ブロンドとブルネット(blonde and brunette)と髪の毛の色で比較され、ついでにどういう女性か揶揄されるテンプレートが出来たのは、何度も取り上げますがマリリン・モンロー出演の「紳士は金髪がお好き」から。

エルもこのブロンド娘テンプレートに当てはめられて後ろ指指されますが、持ち前の明るさ、誠実さ、そしてたゆまぬ努力でテンプレートを破っていきます。



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