*この記事は2021年5月5日にNoteへ投稿した記事の再編です。
Author: Jojo Moyes カテゴリー: ラブストーリー 翻訳版の有無: あり。邦題「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」 映像化: あり「世界一キライなあなたに」 英語レベル: Advanceレベル(洋書を1年間に1冊読了出来る)
この本は、こんな人達にオススメします。 ・今、自分がいる場所が好きな人、心地よいと思っている人 ・自分が選択しない趣味や仕事を選択した人と出会い、その人と関わって、その相手に惹かれつつも一緒にいると背伸びしてしまって少し疲れるな、という複雑な気持ちを抱いている人 ・現状に不満を抱きつつも、様々な理由で環境を変えられず、あるいは目を背けてしまっている人
これは、自分が住む小さな世界で発生する数々の小さな不満を抱きつつ、総合的に見てその環境に満足する主人公ルゥ(以下Lou)が、刺激の多い世界で精力的に行動する糧を突如奪われたウィル(以下Will)と出会い、成長する物語です。 Willに出会うまで、Louは自分が生きる環境に満足していました。小さなカフェで働き、趣味に没頭する恋人と将来の見えないずるずるした関係を続け、自分の稼ぎに頼りきりの家族とべったり過ごす。Satisfiedではなくても、Louはcontentでした。 Willに出会うまでは。
かつて実業家としてバリバリ働き、アウトドアを好んで世界中を飛び回る生活をしていたWillは、事故により全身に麻痺が残り、体の自由を奪われ、人生に悲観していたところでLouと出会いました。 その出会いは、Louの人生観を変えます。 自分の家と職場のカフェを行き来するだけで満足な生活を送っていたLouは、事故以前は趣味や仕事で世界中を飛び回る生活をしていたWillの話がとても眩しく、一方で自分には縁のない話だと思って聞いていました。 ですが、彼と交流を深めるうちに、自分が蓋をしてきた数々の小さな不満に向き合っていくことになります。
それは、将来性のない恋人との関係だったり、自分の稼ぎに頼る家族だったり、一番近くにいる親友のようでコンプレックスを刺激される対象である妹だったり。 それらの不満と向き合い、精神的にLouは成長していきます。 LouがWillと出会う前の自分(Me Before You)を見つめ直すお話なのです。 ※この成長が続編のAfter You、Still Meに繋がります。 体の自由を奪われたWillが今後の人生を悲観し、尊厳死を検討するというテーマを軸に、Louが自分の殻を破って自分のぬるま湯の世界から飛び出す過程が丁寧に描かれています。 扱うテーマが重いので、決して楽しいだけの話ではありませんが、LouにとってWillも恋人も妹も、本来は居心地の良いだけの相手ではありません。 自分の気持ちと向き合い、彼らと向き合い、お互いにとって良い関係の着地点を決める、Louの決断の詰まった物語です。
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