Author: Tove Jansson
翻訳版の有無: あり「ムーミンパパ海へいく」
映像化: なし
英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)
この本を読むと、「住めば都という言葉を体験できる」というベネフィットを得られます。
ムーミンシリーズを読破しようと始めて、最初に購入した八冊のうち、七冊目がこの作品でした。
ふらっと放浪する自分探しの旅に出かける気質のあるムーミンパパですが、今回は家族を連れて灯台のある海へ行きます。
以前灯台に住んでいた、いわゆる管理人の立場の人は近くにいつつも、灯台自体は鍵がかかっていて、すぐに入れない一家。
中には入れても、海が近いから室内は水浸しだし、環境の違いからムーミンママはホームシックに掛かる始末。
両親に連れられた感のあるムーミンと、連れてこられても自分のやりたいことを率先してやるリトルミーの対比も見られます。
新しい環境で、果たして一家は生活を整えることが出来るのか、というのがこの作品のテーマでしたが、私達も「住めば都」という言葉があるので、環境の変化を体験したことがある人は共感出来る話です。
これまで山間の、ムーミン谷に住んでいた一家。
大地と共にあった彼らは、今度は海の傍に移り住む。
山間に吹く風と海風とでは、おそらく匂いや音も違うはず。
今まで縁の下の力持ちだったムーミンママの心境の変化が目立つ作品で、ホームシックが心配されました。
ムーミンパパもその原因を作った本人ですし、彼女の様子を心配そうに見守る姿がうかがえます。
それでも私達は、様々な理由で環境の変化を経験します。
他の土地に移動しなくても、年月を重ねれば人も年を取るので、一緒に過ごす家族との別れを経験することだって、環境の変化です。
その変化する環境に、一つでも、小さくても幸せを見つけられれば、それは毎日をハッピーにしてくれます。
本作をそれを訴える、素敵な作品になっています。
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