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Book Report: Moominpappa's Memoirs

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 2024年4月26日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年12月31日

Author: Tove Jansson

翻訳版の有無: あり「ムーミンパパの思い出」

映像化: なし

英語レベル: Advanced寄りのBasic(一日3分英語と向き合えるレベル)


この本を読むと、「自分が経験した楽しい思い出を人と共有したくなる」というベネフィットを得られます。


自分の経験談を若手に伝えるって、きっと本人は緊張するけれどわくわくするのも確か。

そんなことをふと思わされた作品でした。

本作の主人公はムーミンパパ。

彼はヘムレン族(Hemulen)の家の前で拾われ、十三番目の子供として育てられた唯一のムーミン族というはみ出しっこ。

ヘムレンの枠にはまらないことで生きづらさを感じ、家を飛び出して仲間を見出し、船旅に出て成長するという経験をします。

その経験談を伝記にして、息子のムーミントロール、息子の友人スニフとスナフキンに読み聞かせするというのが、本作の流れです。

何とも世間が狭いのか、ムーミンパパが友達となる仲間のうち、スニフとスナフキンの父親がいて、彼らのエピソードをスニフとスナフキンが聞きたがるという様子も描かれています。


前作の二つと違い、本作では過去のエピソードが混ざり、かつ過去の話をするとはいえ視点が過去にあるという、なんとも不思議な感覚を味わいます。

ムーミンパパの感覚も、現在では伴侶も子供もいる落ち着いた大人ですが、若い頃の彼は冒険が好きで腰を落ち着けるより動いていたいという感覚の持ち主でした。

だからといって破天荒というわけではなく、好奇心が旺盛で何でも知りたがり経験したがるという性格です。

現在の時間軸で伝記についてムーミンママと話をする時の掛け合いも、しっかり者のママと夢想家のパパとのやり取りが見られて、彼らの性格がよくわかります。


普段、私達は様々な役割を持ち生活をしています。

役割をそぎ落とした後に残った自分というのが、おそらく本来の自分なのだと思いますが、それを実行した瞬間に自分がこれまで経験したことを誰かに話したいと思うのは、自然のことです。

私も他者から求められた「私」を脱ぎ捨てて、自分が何が好きか、自分が何のために生きているのか向き合った時に、自分のことを誰かに伝えたいと思いました。

だからこうして発信活動をすることに繋がっています。

ムーミンパパも同じく、本作の冒頭で自分と向き合う時間があり、それがきっかけで伝記を書くことになったのですが、詳しくは読んでみてのお楽しみです。

昔は自分のことを伝える発信をするとは思っていませんでしたが、自分が知らなかった自分も発見出来て、面白いものです。



さて、本作でも「memoir」という英単語が出てきました。

別作品に関する記事でも書いていますが、memoirは伝記のことを指します。

伝記を指す英単語は他にもあるので、その違いを再掲しておきます。


・biography:ある人の伝記を第三者が書くこと。出生、特定のイベントなどが盛り込まれ、歴史上のイベントも含まれる

・autobiography:ある人の伝記を本人が書くこと。子供時代から現在に掛けて書かれることが多く、年代に沿って描かれる

・memoir:ある人の伝記を本人が書くこと。特定に時期に集中し、人生すべてを描くのではない




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