Author: Alaska Thunderfuck, Foreword: Jackie Beat
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: Advance(一年間で一冊洋書を読了出来るレベル)
この本を読むと、「絶望と幸福は意外とセットでやってくると実感出来る」というベネフィットを得られます。
絶望とセットな幸せな人生。
この言葉を聞いただけでは、「えっ!。絶望はいらないです。幸せな人生だけがほしい」と思う人が多いのではないでしょうか。
私も出来ることなら、幸せだけほしい。
しかし人生とは不思議で、セットで経験しているんですよね。
学校の入学試験で合格せず第二希望の学校へ進学した、学校を中退した、就職先がなかなか決まらなかった、大切な人と様々な形でお別れしてしまった。
これだけ並べると、「やっぱり幸せだけほしい!」と思うはず。
本作との出会いは、2020年に新しい生活様式に世の中が変化して以降。
これまで仕事はオフィスへ出社するのが当たり前だった生活の私が、在宅勤務に切り替えて何とか慣れようとしていた頃です。
丁度私達の生活に入り始めたのがNetflixで、私も契約しました。
その映像作品の中で出会ったのが「RuPaul's Drag Race」。
ドラァグクイーンのルポール(RuPaul)が、いわゆる彼の後輩のドラァグクイーン達に活躍の場を与えるために始まったショーで、各シーズンでは多彩な出場者達がNext Drag Super Starの座を競い合うものです。
本戦の「RuPaul's Drag Race」は既にシーズン14まで終わり、各国のシリーズや、過去の出場者にセカンドチャンスを与える「All Star」シリーズも大人気です。
ちなみに「Drag Race Japan」はありません。
そのショービズに出場した一人、アラスカ(Alaska Thunderfuck2000)が本作の著者です。
幼少期の自身の様子やドラァグとの出会い、故郷ピッツバーグ、ペンシルベニア州でかつてのパートナーのシャロン(Sharon Needles)との確執、Drag Race出場、そして現在の様子を描かれた伝記です。
これを読むと、本当に「あの時〇〇でなければAの未来はなかった。いや、〇〇だったから今の未来があるんだ」とアラスカの人生と同期して、自分の人生も振り返ってしまいます。
「Drag Race」を観た私からすると、一番気になったのはシャロンと確執と「Drag Race」との関わり方です。
シャロンも同じくドラァグクイーンで、同じく切磋琢磨し、その後「Drag Race」シーズン4出場の際にアラスカと一緒に応募します。
この時期はアラスカにとって、成功に持っていくまでの間に起きた、長い挫折の人生だったのではないかなと思います。
あまり「Drag Race」に触れるとネタバレになるので伏せますが、自分の叶えたい夢と、大事な人との間で揺れ動く、特にナーバスな時期。
突如として著名人になり、人生が急スピードで加速し、それに振り回された結果一旦スピードを落として自分と向き合った。
番組で観る限りのアラスカの印象は、こういったところでしょうか。
私達にも絶望と幸福がセットでやってくることがあります。
2020年の生活様式の変更は、急スピードで環境を変化させ、私も振り回されて心が疲れました。
あれから3年経った今、あの変化の年を経験しなければ今がなかったなと思うものが、たくさん出てきました。
オンラインで知り合った友が一番の財産ですし、そのオンラインで勉強したお蔭で私はこれから英語・洋書の良さを伝える活動をするとアクションを起こせました。
その時はもちろん辛いですけれど、確かに絶望と幸福がセットでやってきています。
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