Author: Lauren Weisberger
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: Advanceレベル(洋書を一年間に1冊読了出来る)
この本は、こんな人達にオススメします。
・自分の子供の幸せのためなら、どんなことだって出来る人
・物事に行き詰っている人
・性格やライフスタイルの違いも含め、認め合える姉妹がいる人
ペイトン・マーカス(Peyton Marcus)は、他人の目から見ると完璧な生活を送っていました。
朝のニュース番組のキャスターを務めるペイトンは、稼ぎのいい旦那アイザック(Issac)と間もなく高校を卒業する娘マックス(Max)の三人と、何不自由ない暮らしをしています。
目下気になる点と言えば、マックスの進路。
イマドキの子供らしく、動画撮影に余念がないマックスは映像の勉強を視野に進路を探していて、アイザックやペイトンが進める権威ある大学には興味がない様子。
彼女に刺激を与えてくれるのは、彼女の姉家族。
メディア露出するペイトンと違い、オーロラの育児を機に一旦仕事のキャリアをお休みする
姉スカイ(Skye)と旦那のゲイブ(Gabe)、そしてペイトンの姪に当たるオーロラ(Aurora)が近くにいてくれることで、ペイトン含め彼らは穏やかな暮らしを送っていました。
そんなある日、いつものようにニュース番組を務めた後、ペイトンは自身が通うジムのテレビで信じられないニュースを目にします。
大学への不正入学に手を出した罪で、自身の夫アイザックが逮捕されるのです。
ペイトンはわが目を疑いました。
当然、夫の逮捕は信じられないのですが、その不正入学のためにお金を支払ったのはアイザックではなく、ペイトン自身だったのです。
それは娘に良い環境で大学生活を送ってもらいたい、というどんな親にでもある願望を歪んだ形で実現してしまった、ペイトンの犯した罪でした。
この物語のテーマは家族愛です。
ペイトンの母としての愛。
ペイトンとその姉スカイの兄弟愛。
アイザック逮捕後にスカイ家族が姪のマックスを気遣う愛。
ペイトンの罪を被る形で捕まったアイザックの自己犠牲の愛。
主軸になっているペイトンの家族の話と並行して、スカイ家族側も問題と向き合い家族間の愛情を確認していきます。
アイザック逮捕の影響を受けて、スカイが二年掛けて進めるチャリティー活動に陰りが差したり、スカイとゲイブとの間で子供を持つ人数のすり合わせが出来ていなかったり。
一つ一つの問題は、読者にも身近な問題でありますが、確かに描かれているのは各々逃げられないところまで来たキャラクターは、最終的に向き合って問題を解決していきます。
一番被害を受けたマックスは、当然父を責めます。
「娘の大学入学の援助をした父」あるいは「不正入学させられる手筈の娘」としてメディアに露出したマックスは、あることないこと記事にされるわけですから、自分の人生は終わったと悲観します。
しばらくバイトに勤しむことにしたマックスは、「この先一生このバイトだわ」なんて自虐する場面もあり、読者としては何とも気の毒になりました。
ですが、彼女もまた事実と丁寧に向き合い、自分の力で道を切り拓く道を選ぶのです。
それぞれの家族が持つ愛情をお互いに自覚した時、ペイトンは大きな決断をして物語に幕が下ります。
その決断は果たして吉と出るか凶と出るか、その結果は描かれませんでしたが、本来誠実な性格のペイトンはその行動を起こさずにはいられなかったのだと思います。
アイザックが大学入学を不正に行った、というペイトンがついた小さな嘘。
二つの家族、そして彼らに関わった人達に大きく動かした物語でした。
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