Author: Jenny Han
翻訳版の有無: なし
映像化: あり「好きだった君へ P.S.まだ大好きです」
英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)
この本を読むと、「本当に諦めたくないものは何か考えさせられる」というベネフィットを得られます。
ポップでライトな恋愛小説「To All The Boys I’ve Loved Before」の続編として出版された本作では、ララ・ジーン(Lara Jean Song Covey)の恋の行方が描かれます。
前作で、同級生ピーター(Peter Kavinsky)の偽物の恋人を務めたわけですが、彼と一緒にいるうちに、ララ・ジーンは本当にピーターのことが好きになります。
そうなると、ピーターの元カノであり、かつての親友で心が離れてしまった幼馴染ジェネヴィーヴ(Genevieve)のことを妙に意識することになり、悩みます。
前作のラストで、自身の姉マーゴット(Margot Song Covey)の元カレで三姉妹共通の友人ジョッシュ(Josh Sanderson)とララ・ジーンとの間に誤解が生じたことで、ピーターと喧嘩してしまったララ・ジーンでしたが、本作の冒頭で仲直りすると、ピーターとの関係を徐々に修復していきます。
それでも消えないのが、ピーターとジェネヴィーヴが築いた関係への嫉妬です。
ピーターの初めての恋人であるジェネヴィーヴは、彼にとって特別な存在ですし、別れた後もなぜかジェネヴィーヴはピーターについて回り、ピーターもその理由を言わず彼女を庇うので、ララ・ジーンも面白くない。
そんな二人に追い打ちをかけるのが、ララ・ジーンが書いた手紙のうち、返事がなかったジョン・アンブローズ・マクラレン(John Ambrose McClaren)からここにきて返事があり、思わぬ形で再会するのです。
ロマンチックな流れを経験するララ・ジーンですが、本当に諦めたくない恋の相手は誰なのか、作品を通じて悩みぬきます。
前作では、三姉妹共通の友人ジョッシュへの仄かな恋を諦め、自身が書いた秘密の手紙が手違いで送付され、うちピーターと条件付きの元で付き合うことになったララ・ジーン。
自身もピーターに仄かな思いを抱いていた過去から、当初は自身のベネフィットも含めて受け入れていましたが、向き合ううちにやはりつらくなっていくのが三角関係。
どうやってもジェネヴィーヴの影が付きまといます。
しかも、ピーターが100%ララ・ジーンにコミットできないようにも見えましたし、途中から登場するジョンは明らかにララ・ジーンに気があるようだし、ならばいっそのことジョンに乗り換えちゃえばいいのにと思ったくらいですが、好き勝手振舞っているようで自信があるように見えるピーターの繊細な部分も出てきます。
ピーターにしても、ララ・ジーンにしても、その偽物の恋をする中で、本当の姿を見出して、お互いが惹かれていくようになります。
偽物の恋人関係を辞めれば楽になる二人ですが、関係を続けようとすることで、つらい部分(ジェネヴィーヴやジョンといった邪魔者や、彼らを意識する自身のマインドなど)にも向き合うことになります。
辞めた方が楽ですが、そうせず、お互いを思いやる姿に胸を打たれる作品です。

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