Author: Astrid Lindgren
翻訳版の有無: あり。「ピッピ南の島へ」
映像化: なし
英語レベル: Advanceレベル寄りのBasic(洋書に一日3分向き合える)
この本は、こんな人達にオススメします。
・これから友達と旅行の予定がある人
・非日常を体験したい人
・友達と素敵な思い出を作った人
ピッピの話が読める最後の作品です。
この作品は、前作「ピッピ船にのる」の終わりのエピソードから始まっています。
相変わらずスウェーデンにいるピッピ。
トミーとアニカ兄妹との日常を過ごすピッピの元に、不意に届いた手紙があり、そこにはスウェーデンに戻ると綴られた父からのメッセージがありました。
そのメッセージに心がまた騒ぐトミーとアニカ。
二人ともピッピが大好きですね 笑
父親との再会を喜ぶピッピとは裏腹に、二人の気分はどんどん落ち込んでいきます。
エフラム船長は再度ピッピを自分が治める島へ招待し、ピッピは行く気満々。
それと裏腹に、気分の急降下に拍車がかかるトミーとアニカ。
ですが、ピッピも前作で友人達の様子を見ていたからか、根回しが素晴らしい。
島へ行くのは二人も一緒に、とばかりに既に二人の母親に話を付けたうえで、トミーとアニカに一緒に南の島へ行くことの誘いを掛けます。
父、彼のクルー、そして友と一緒に南の島へ訪れたピッピ。
現地にいる子供達とも仲良くなるし、島の名産物である真珠を狙う二人の男達をかき回すピッピの姿にくすりとなりました。
そして最後は「大人になりたくない」というテーマで締めくくります。
三部作を通じ、子供時代を謳歌する三人ですが、この楽しい時間がいつまでも続けばいいのにと訴えます。
それは大人が作った「当たり前」に囚われないピッピの姿が象徴するものであり、すっかり「当たり前」に染まって自分の意見を持たなかったトミーとアニカにとって印象的でした。
父エフラム船長と共にスウェーデンから移住するか否かを決めたピッピは、案外自分の意見を持ち、自分勝手に見えて実は考えて動いていることは明らかです。
ピッピと一緒にいれば、大人の「当たり前」に囚われずに済むトミーとアニカですが、彼らはいつまでもピッピに頼るわけにはいかないことも薄々と感じています。
最後にピッピと別れ、自宅で過ごす二人は、窓の向こうにピッピの姿を見つけ彼女を見つめます。
スウェーデンに戻れば一人きりのピッピ。
家族とともにいる二人からすれば、その姿はとても寂しいものですが、それは自立の象徴でもあり、兄妹との対比に感銘を受けました。
三部作を通し、ピッピはずっと変わらずフリースピリットですし、自他ともに認める嘘つきですし、きっと中には彼女に共感できない読者も出てきます。
(私は当初、ピッピのことが好きではありませんでした。)
大人と子供の対比が上手になされ、読者に対し子供の成長とはという点を問いかけているからだと思います。
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