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Book Report: Pippi Longstocking

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 2023年3月6日
  • 読了時間: 3分

Author: Astrid Lindgren

翻訳版の有無: あり。「長くつ下のピッピ」

映像化: あり「長くつ下のピッピ」

英語レベル: Advanceレベル寄りのBasic(洋書に一日3分向き合える)



この本は、こんな人達にオススメします。

・おりこうさんとは程遠い友人がいる人

・楽しいことがしたい人

・サバイバルの力が強い人


奇抜なお隣さんとの交流を描いた作品は、私もいくつか知っています。

(といっても洋書より映画の方が多かった 笑)

今回紹介する作品は、子供の頃から知っていたけどなかなか機会がなく読めていませんでした。

友人も本作品をお薦めしていたので、意を決して読んでみました。


トミーとアニカの兄弟はいわゆるおりこうさん。

行儀もいいし、学校にも通っています。

でも彼らが意気投合したお隣さんのピッピは破天荒な子。

Wikipediaでは天衣無縫と表現されていた通り、ピッピは口達者で常識に囚われない、でも生活の知恵を持つサバイバル力の強い子です。

天性の怪力という、いかにもファンタジーで子供が好きそうな特技を持ち、天涯孤独ながらも子ザルのニルソンさんと名前のついていない馬と暮らしています。


この作品は10つの短い物語から成り、子供達の日常を描きながら、一貫して教えるのは枠に当てはまらない子供とあてはまる子供の違い。

子供達の視点で見れば、面白い子がいて一緒に遊ぶと楽しいから一緒にいる、という素直な物語。

トミーとアニカは、ピッピと出会ってから一緒に遊ぶ遊びが楽しい言い、兄弟だけでの遊びなんてもう忘れちゃった、というくらいピッピとの時間が大好き。

でも大人達の視点で見れば、躾のなっていないピッピの特異性が目立ちます。

試しに学校へ行くピッピのエピソードが描かれますが、学校の先生も彼女を持て余しますし、ピッピも窮屈そうです。

(詳細は忘れましたが)1+1の答えは何、と先生から聞かれたピッピは逆に先生になぜそんな質問をするのか問い返します。

埒が明かず結局先生が答えを言うのですが、それを聞いたピッピは「答えを知っているのに質問するなんてどうかしている」と口出し。

教育現場なので、足し算引き算がその日の授業なら、そりゃ問題を出すでしょ、と私は思わず突っ込みを入れてしまったのですが、学校が何をするためのところか理解していないピッピには、答えを知っているのに相手へ質問する先生の方が理解に苦しむ事柄なのです。


大人側の視点に立ってこの本を読むと、ピッピとは何とも扱いが難しい子供です。

いうことを聞かない、すぐ口答えする面倒な子。

大人の常識の枠に当てはめられた子供達と、そこからはみ出したピッピ。

私は当初、ピッピへのいら立ちを禁じえませんでしたが、このロジックに気が付くと、なんだかピッピが愛おしくなりました。

たまたま大人の常識の中に、ピッピが当てはまらないだけなのです。

そして、主人公はピッピなので仕方のないことですが、大人の言うことを聞くおりこうさんのトミーとアニカの描写のなんとつまらないこと。

性格などの特徴の描写が薄く、どのエピソードを通じてもピッピの添え物のように感じます。

ピッピとトニーとアニカ兄弟との比較は、単に人の個性を表すだけのもので、優劣を伝えることがテーマではありませんが、なんだかんだ言って大人は子供に対して「普通であってほしい」と願ってしまうのだなと、本作品を通じて感じました。



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