top of page

Book Report: Remarkably Bright Creatures

11 時間前
読了時間: 4分

Author: Shelby Van Pelt

翻訳版の有無: あり「親愛なる八本脚の友だち」

映像化: あり。「親愛なる八本脚の友だち」

英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)



「気持ちと行動は、そう簡単に線引きできるものじゃない」


話の流れはシンプルなんだけど、心が温まる作品だったなぁ。

本作は、映画から入った私。

監督は、Where the Crawdads Sing/ザリガニの鳴くところを手掛けた方だったから、映像作品を発見した私は期待大。

オリヴィア・ニューマン監督の作品は、自然界に生きる生物たちの姿が生き生きと、美しく描かれているので、本作にタコが登場するとわかって観るのが楽しみでした。

結果、面白かったし、心が温まりました。

話の流れも先にわかったところで、原作にも挑戦しましたが、大筋は同じでもところどころ異なっていましたね。

原作と映像作品の物語に差異が出るパターンって、よくあることですし、私は必ずしも、原作とそれを基に作られた作品が同じではないといけないとは思っていないです。

本作については、原作は良かったけど映画版は更にブラッシュアップされていて、更に良かったと思いました。


本作は、何かを失ったこと、自分の居場所、おうち、家族といったことがテーマとなり、メインキャラクターの二人と一匹が始終表現していました。

息子を失い、夫とも死に別れ、残りの人生をひっそり生きるトーヴァ(Tova Sullivan)、シングルマザーの母に捨てられ家族の情に薄いキャメロン(Cameron)、タコが持つ寿命が残り僅かな頃にせめて最後は水族館を飛び出し海で過ごしたいと願うミズダコのマーセラス(Marcellus)。

二人と一匹に共通するのは、居場所や家でした。

それも、本来手にしていたはずの居場所や家を奪われてしまい、心が寂しくなっている状態の彼らを描いています。


トーヴァとキャメロンのつらさは種類が違うので、推し量れるものではありませんが、どちらにも当てはまるなと思ってみるのは「その足元の不安定さ」。

70歳のトーヴァは頼れる家族がもういないし、息子を失ったことで心を閉ざしているから、日常を過ごしていても友人達から一線を画している。

小さな町で住人達と顔見知りなのに、トーヴァは自分の存在が重荷にならないように、何事も自分の力で済ませちゃおうとしてしまう。

キャメロンは30歳の夢追い人。

自身を放棄した母の代わりに、母の姉であるジャンヌ伯母(Aunt Jeanne)に育てられ、しっかりたっぷり愛情をもらっているも、やはりどこか距離があるためか、キャメロンがジャンヌに対し遠慮しているように感じられる。

そんなキャメロンは定職に就かず、子供の頃からの親友であるエリザベス(Elizabeth)と、彼女の夫のブラッド(Brad)とバンドを組み、それが軌道に乗るまで仕事を転々とする。

そんなキャメロンだから、物語冒頭で付き合っていた恋人から見限られるし、まもなく出産するエリザベスとブラッドからは、バンド活動をやめることを告げられる。

すっかり基盤となる人間関係も失う。

足元がおぼつかない(おぼつかないとか言っている 笑)のは、マーセラスも一緒で、タコの足は柔軟だから、地に足がついていない ←ちょっと強引なこじつけ

やがてトーヴァのいるソーウェルベイ(Sowell Bay)という小さな町に、まだ見ぬ父親を追跡するキャメロンが流れつき、二人が出会うのは面白い。

海の近い港町なので、海や水に関する描写が美しいし、水族館でトーヴァの代わりに臨時で水族館の掃除係となるキャメロンは、これまでトーヴァがマーセラスに語り掛けていたように、彼もマーセラスに自分の気持ちやら一日の出来事やらを語り掛けるという、一方通行な会話を繰り広げるのも面白い。


トーヴァにしても、キャメロンにしても、誰かに頼ることなく自分の足で立ちたいのに(気持ちの自律、金銭的な自立など)、心のどこかでは寄りかかりたいと思っているのだ。

過去の悲劇を知りながら距離を取らず気に掛けてくれる長年の友人達にも寄りかかれないトーヴァと、金銭的な余裕がないけれど何とか自立し父親の目星がついた相手にコンタクトを取るキャメロン。

すべて自分で行動すると決めても、本当は手を差し伸べてほしい。

そんな二人の心の緊張や揺らぎが伝わる作品でした。


本作に脇役として登場する、ソーウェルベイ唯一のスーパーの店主イーサン(Ethan Mack)、パドルボード店のオーナーのエイヴリー(Avery)、トーヴァの裁縫仲間ニットウィット(The Knit-Wits)のバーバラ(Barb Vanderhoof)、メアリーアン(Mary Ann Minetti)、ジャニス(Janice Kim)も印象的なキャラクターで、憂いが強いトーヴァとキャメロンに代わり、物語を明るくしてくれています。



コメント


©2021 by 洋書Lovers普及委員会。Wix.com で作成されました。

bottom of page