Author: Jojo Moyes
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: Advance(一年に一冊洋書を読了出来るレベル)
*シリーズ最終作。前作にMe Before You、After Youがある
この本を読むと、「自分と向き合う大切さを学ぶことが出来る」というベネフィットを得られます。
私が洋書Lovers普及委員会を立ち上げたばかりの頃に、シリーズ一作目の紹介をしていました。
そこから二年越しでようやくシリーズ最終作を読めた、この頃。
別の洋書に興味が移ってしまったことと、不思議と主人公ルゥ(Lou)に意識を重ねたのかしれません、なんて。
(読めなかったのは前者が原因です。)
シリーズの作品名でわかる通り、各作品で主人公ルゥの心情を表しています。
Me Before You: あなたと出会う前の私
After You: あなたと別れた後の私
Still Me: あなたを通じて様々な出来事を経験した後に振り返り、主軸となる自分を持つ私
「私」とはルゥのことで、「あなた」とはルゥが男性として、メンターとして愛したウィルを指します。
Me Before YouからStill Meまで一貫して、ルゥは人のために動いてあげられる女性です。
家族、Me Before Youでの雇い先のウィル・トレイナー家(The Traynors)や、Still Meでの雇い先のゴットニップ家(The Gotnips)、そしてStill Meで重要な役割を持つマーゴット(Margot)のために尽くしてあげられるルゥ。
それは彼女の素晴らしい魅力。
ですが、自分自身がどうしていくかということは、後回しにしがち。
典型的長女あるあるですね。
それでも、ルゥは与えられた環境で十分だと感じている様子で、恨みはしませんでしたが、その彼女に「もっと冒険しろ」とスパイスを与えたのがウィルでした。
彼の言葉に従い、自分の苦手な「自分を見つめること」をすることで、思ってもみない未来を築き上げていきます。
ルゥは決して自分のやりたいことから逃げていたわけではありません。
単に自分よりも相手のことを考えて動き、そして尽くしてしまう。
尽くしても邪険に扱われるわけでもなく、感謝はされますが、結局は現状維持のままなのですよね。
未来の創造が出来ていない。
海外に出ること、挑戦したいことに挑戦すること、実は心の奥底に眠っていたこれらの願いを気づき、叶えてあげることを決意するまでがMe Before YouとAfter Youで描かれています。
本作Still Meは、ルゥが自分のやりたいことに向き合った結果です。
それが現実化し、地元イギリスからアメリカに舞台が移ります。
夢が実現しても、そこでまた課題が出てきてルゥは自分と向き合わざるを得ない。
そう、自分と向き合っても、また課題は現れて、自分がどう生きていくのか見つめ直すようにと宿題を置いていくのですよね。
Still Me後半で、ルゥは職を失う危機を迎えますが、同時に内省の時間を与えられ、自分の人生の分岐点をまた意識することになります。
簡単にはゴールさせてくれないルゥの運命。
自分と向き合うことがメインテーマなら、遠距離恋愛が本作のサブテーマ。
タイトルでわかるとおり、ルゥはウィルとの出会いの後に別の男性とも出会うことになりますが、彼女にとって誰が理想のパートナー、心の拠り所なのか探るにもよい作品になっています。
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