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執筆者の写真Masumi

Book Report: Tales from Moominvalley

Author: Tove Jansson

翻訳版の有無: あり「ムーミン谷の仲間たち」

映像化: なし

英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)



この本を読むと、「身近にいるあの人の違う一面が見られる」というベネフィットを得られます。


これまでトーベ・ヤンソン作品を読んできた私ですが、ムーミンシリーズはすべて一つの本に一つのエピソードという形式だと思ってした。

本作は、他のムーミンシリーズと異なり、短編となっています。

メインとなるキャラクターとは別な登場人物達が出てきて、ムーミン一家とは別の独立した物語を読むことが出来ます。

もちろんこれらに登場するキャラクターの好き嫌いから、その物語への印象も異なってきますね。

本作の中で印象的だった三つのエピソードを取り上げたいと思います。


一つ目はスナフキンが主人公の「The Spring Tune」。

またまた彼は旅の途中で、自由気ままに過ごしています。

そんなスナフキンがふと思い出すのはムーミントロールのこと。

ムーミントロールは、スナフキンが旅をすると告げるとすぐに拗ねて表情を曇らせます。

旅の途中にスナフキンが出会ったのは、クリープ(Creep)という種族の子。

彼はスナフキンに憧れめいた気持ちを抱いています。

そのクリープがスナフキンに話しかける最中、スナフキンは放浪しつつもムーミントロールに会いたいという彼への友情を確かめます。

スナフキンはクリープの願いを聞き入れ、彼にティーティーウー(Teety-woo)という名前を与えます。

淡泊なようでしっかりムーミンに対する友情を抱くスナフキンの様子が、彼の何気ない放浪の旅の中でうかがうことが出来ます。


二つ目は、物事なんでも悪い方向に捉えてしまうフィリージョンクを主人公にした「The Fillyjonk Who Believed in Disasters」。

こういう、現実世界にも人いますよね。

何事においてもネガティブ思考の主人公のフィリージョンク(フィリフヨンカだそうです)は、自分の家が嵐に巻き込まれる妄想に取りつかれています。

友人のジャフサ(Gaffsie)も呆れますが、フィリージョンクは何かにつけて心配症です。

現実的な考え方が出来ていいのですが、いつでもリスクヘッジする思考なので、一緒にいると疲れそうですね。


三つめはものを言わなくなった少女の「The Invisible Child」というエピソード。

ニニー(Ninny。ニンニだそうです)は、育ててくれた親族ががみがみ言う気質の人だったため、すっかり内気な性格になってしまいました。

自分の意見が言えず、存在意義を失いつつあるニニーは体がすっかり透明になりました。

そんなニニーをムーミン一家に連れてきたトゥーティッキー(Too-ticky)。

ムーミン一家の面々は基本穏やかでおおらかなのですが、やがて優しいムーミンママにニニーは心を許していきます。

顔以外の体のパーツが見えるようになってきたニニー。

これも結局心の問題と直結しますが、自信がなく自分の存在アピールが出来ないニニーは、自分は存在してはいけないんだとまで思い詰めている、ということを表現しています。

それがムーミン家に来たことで、徐々に彼女が自分の役割を見つけていくのです。



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