Author: Julia Quinn
翻訳版の有無: なし
映像化: あり「ブリジャートン家」
英語レベル: Advancedレベル(一年に一冊洋書を読了できる)
この本を読むと、「不幸のどん底の後でも幸せを見つけることが出来る」というベネフィットを得られます。
作者Julia Quinnは、ブリジャートン家シリーズを書き上げた後、各エピソードに二つ目のエピローグをつけました。
それを集めたのが本作品。
そして、その二つ目のエピローグと一緒に加筆したのが、ブリジャートン家八兄弟の母親ヴァイオレットの恋物語です。
彼女は幼い頃、近所に住む男の子からいたずらされ、それを仕返しするという子供の交流を続けた過去があります。
十歳前後のことなので、かわいらしい手法で嫌がらせし合う子供達でしたが、大人になり、ヴァイオレットも社交界デビューすることに。
そこで出会ったのが美しいエドモンド・ブリジャートン。
なんと子供の頃いたずらし合った近所の男の子でした。
彼らの再会はあっという間に恋に発展し、ヴァイオレットは幸せな結婚生活を二十年近く送ることが出来るのですが、あの悪夢の日は突然訪れました。
誰も予想だにしない突然の事故により、エドモンドは亡くなります。
悲劇を目撃した次女エロイーズの心に引っかかる出来事であり、尊敬する父親を突如失い一家を守る立場に押し上げられた長男アンソニーに深い影を落とす出来事であり、そしてヴァイオレットにとっても、第八子のヒヤシンスを妊娠中に起きた出来事であったため父親のいない子供を産むことに大きな不安を抱えていました。
ヒヤシンスのエピソードで、彼女の誕生は悲嘆に暮れる家族の希望になったことを伝えたヴァイオレットでしたが、本作で彼女は子供達から励まされるシーンが登場し、この場面から、彼女は長い時間をかけて最愛の人の死から立ち直ったのだと痛感しました。
映像作品でも、ヴァイオレットはどっしりと構えた母親のように描かれていますが、八人の子供達を一人で守ってきた苦労は計り知れません。
(アンソニーは成人近い年齢だったので、もう子育てする必要はありませんが、彼の結婚を見届ける重要な仕事がありました。)
突然の別れを経験し、自分の子供達に希望を見出し、そして彼らの成長を見届けてきたヴァイオレット。
各自結婚して家庭を持つので、彼女の巣から離れてはいきますが、彼女の周囲には子供達、孫達もいて寂しいということはない。
彼女にとって、自身の子供やこれから未来を作っていく子供達の姿は、生きる力になり彼女に幸せをもたらしてくれています。
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