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執筆者の写真Masumi

Book Report: The Last Ever After

Author: Soman Chainani

翻訳版の有無: なし

映像化: なし

英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)

*第一シリーズ「スクール・フォー・グッド・アンド・イーブル」はNetflixで観ることが出来ます。


この本を読むと、「お互いが幸せになる方法は何かを考えさせてくれる」というベネフィットを得られます。


気が付いたら、最初に投稿したブログを誤って消してしまったで、再度発信します。

誤っての削除は一度目ではありませんが、まぁ、ショックです。


さて、気を取り直して(早い!)お話の紹介です。

六作品あるうちの三作品が終わりましたが、一段落ついた格好です。

前作からの核になる話は、主人公ソフィーとその親友アガサ、二人を挟むテドロス王子との友情と恋愛関係の板挟み、それからプリンス/プリンセスと悪役に振り分けされること、そして善と悪の均衡を壊すスクールマスター、ラファルの関係でした。


主人公ソフィーは昔からプリンセスに憧れる少女で、大成したいタイプ。

その親友アガサは、周囲から異端児扱いされる出自から平凡を望むタイプ。

その二人が自分達が住むガヴァルドンから、お伽話の世界へ引きずり込まれたことで物事が変わってしまうのが前作二作品までのお話でした。

悪側に振り分けられたソフィーと、プリンセスへ指名されたアガサ、そして二人の間に立つアーサー王の息子という設定の王子テドロスは、複雑な友情関係を結びます。

様々な局面を経て、結局善と悪は相容れないという決別をしてから、ソフィーは悪役のリーダーであるラファル側につき、「悪側のハッピーエンド」を体現します。

このことにより、これまで必ず善に負かされる悪が善を征伐する物語が生まれ、新しい悪が取って代わる世界が出来上がりました。

どうしてもソフィーを諦められないアガサは、テドロスや仲間達の協力を得てソフィーを引き戻そうとします。

それは、ソフィーにとって、自分の孤独を受け入れろと言われていること。

幸せになりたいというささやかな願いを踏みにじられる格好となるため、ソフィーはアガサとの友情を蹴ります。

一方のテドロスも、前作でソフィーと奇妙な形で友情を育んだため、恋しい相手であるはずのアガサ以上にソフィーとの時間を懐かしみます。

アガサの前では雄々しい王子でいたいテドロスも、先に友情を育んだソフィーの前では、自分の弱さをさらけ出せるのです。

それは、彼がアーサー王がたどった失敗を繰り返したくない、という頑なな心をしめしていました。


この作品は、前の二作品以上にソフィー、アガサ、テドロスがどうすれば幸せになれるかにフォーカスした物語になっています。

前作を通じて自分の幸せしか考えてこなかったソフィーですが(だから彼女は悪側)、自分のことを必要としてくれる(悪だくみのため)ラファルの傍にいて、アガサのこと、テドロスのことを思い返し、自分が本当はどうしたいか、二人とどうしたいかを考えます。

一方のアガサ、テドロスも、善である立場からソフィーをどうすればラファルから取り返せるか考え抜きます。

平凡な人生を送りたいアガサにとって、ソフィーが幸せを感じること、特にテドロスが大切にする将来の王としての使命を思うと、自分が将来テドロスの王妃になるに相応しくないのではと悩みます。

テドロスは特にソフィーがラファル側についたことで、尚更アーサー王の息子という立場から失敗できないプレッシャーを感じます。

彼にとって王妃選びというのは、父が母に裏切られた経緯から何よりも大切なこと。

アガサにもそれを大切にしてもらいたいと思っています。

善と悪という立場だけでなく、個人の幸せとは何かを問う作品になっており、前作さながら読みふけること間違いなしです。

また、ソフィーとアガサの親の代から続く確執も垣間見ることができます。

ソフィーの母が亡くなり、父ステファンは不倫相手ホノラと彼女の息子達をますます大切にし、ソフィーは居場所がないと感じていましたが、彼らの歴史が明かされます。


彼女達が各々の幸せの形を見つめた時、痛みを伴いながらもそれぞれがすべきことが目の前に示されます。



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