Author: John Bunyan
翻訳版の有無: あり「天路歴程」
映像化: なし
英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)
この本を読むと、「導かれるという感覚が研ぎ澄まされる」というベネフィットを得られます。
私が海外滞在時代に通学した学校は、宗教色のある学校だったので、授業で宗教作品を取り扱うこともありました。
その一つで記憶に残っていたのは、この天路歴程。
クリスチャン(Christian)が肩の荷に気づいた時、救いを求めた先で伝道師(Evangelist)と出会い、狭き門(wicket gate)を通った先の天界(Celestial City)で救われるという話を聞いて旅に出る、というキリスト教の物語です。
物語はこのクリスチャンの旅の様子を描いた第一部と、彼の妻と四人の子供達も彼同様に天界へ向かう第二部の構成になっています。
私が学生時代に勉強したのは、第一部の方です。
クリスチャンが天界へ向かうためにくぐる門ですが、この描写はプロテスタントとしてのキリスト教徒となるための最初の描写を示しています。
教会で説法を聴くことや洗礼を受けることも、信者には大切な時間になりますが、まず主の存在を受け入れることが最初のステップです。
本作も、クリスチャンは狭き門を通り、信仰の旅を進めていくという物語の流れになっています。
旅の先々で、現世を象徴する人達や心を惑わす人たちに出会い、彼らの様子から学びながら、クリスチャンは信仰心を高めていきます。
ネーミングも、Worldly Wiseman: 現世にしか視点を置かない人、Timorous and Mistrust: 臆病と不信という二人で社会的圧力という恐れに怯えた人、と象徴的です。
もちろん、クリスチャンは仲間となる人達とも出会います。
Faithful: 信じる心を持つ者と途中まで旅をし、彼に替わる形でHopeful: 希望を持つ者がジョインします。
この作品を通じて感じるのは、信仰心を持つというのは、何かに導かれる感覚を研ぎ澄ませてくれるということ。
信仰はもちろん、考えや自分の人生の先輩など、何かすがるものがあると心が鍛えられます。
自分が何か行動するためのエネルギーになり、感覚が研ぎ澄まされます。
指標や目標がなく、何かを進めていくとなると、自分や誰かの気分で軸がぶれたり、行き当たりばったりになって計画倒れするというのはよくあること。
しかも本作は信仰・宗教を描くことから、私達の心にとても強く語り掛けます。
信仰・宗教を取り扱う作品に関して発信すると、ネガティブな意見が出る場合もありますが、人が何かを信じるというのは行動の軸になります。
本作は、人の心の軸を強くしてくれる、良い作品だと考えています。
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