Author: Tove Jansson
翻訳版の有無: あり「小さなトロールと大きな洪水」
映像化: あり
英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読破出来るレベル)
この本を読むと、「不測の事態に動ける人が強いと気づかされる」というベネフィットを得られます。
ムーミンシリーズのほんとのほんとの第一作、というのがこちらの作品。
後の作品でもたびたび取り上げられる水による災害ですが、本作のテーマも洪水です。
ムーミンママとムーミントロールは新しい家を求めて彷徨い、またそのさなかに行方が分からなくなっているムーミンパパのことも探しています。
その途中に洪水発生の気配を受けて、旅の途中で出会う数々の人物達と力を合わせて洪水に立ち向かうというのが本作のポイント。
後の物語でも活躍するスニフとの出会いや、チューリップの形をした少女テューリッパ(Tullipa)との旅を通じ、自然の驚異にどう立ち向かうかを問いかけています。
実は、ムーミン一家の中で誰が主人公か、という点は、これまでに読んだ作品を通じて私が疑問に思っている点でした。
本作含め、全部で九冊ある作品のキャラクター紹介は、ムーミンママから始まる。
一方で、シリーズの多くがムーミンパパに焦点を当てて物語を進ませている。
でも多くのキャラクターは、息子であるムーミントロールと仲良し。
誰がシリーズの核なのか、ということを深堀した時、実は本作が一番よく描いているのかもしれません。
そうでなければ、洪水という不測の事態にムーミンママの活躍をここまで書きはしないでしょう。
ムーミンママは息子を連れ、出会いによる加わるキャラクター達をまとめ、旅の途中に出くわすトラブルに対処していきます。
行方の知れないムーミンパパを探すミッションも忘れないのだから、彼女の対応能力には驚かされます。
様々なピンチにパニックになりそうですが、ムーミンママは一つ一つ周りの人の力も借りながら、対処していくのです。
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