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執筆者の写真Masumi

Book Report: The Nutcracker

Author: E T A Hoffmann

翻訳版の有無: あり。「くるみ割り人形」

映像化: なし

英語レベル: Basic(洋書に一日3分向き合える)

*バレエなど舞台で鑑賞可能です。


この本を読むと、「人助けの気持ちはよく伝わることがわかる」というベネフィットを得られます。

くるみ割り人形は、物語以外にもチャイコフスキーの三大バレエと言われることで、有名な作品ですが、実はちゃんと読書作品がある本作「くるみ割り人形」。

チャイコフスキー作品は、「眠りの森の美女」と「白鳥の湖」が有名です。

バレエに興味がある方は、ぜひチェックしてみてくださいませ。

ちなみに、私は白鳥ものでメンデルスゾーンの「白鳥」のバレエを観たことがありますが、圧巻でした。

クラシックはイタリア、ウィーン、ロシアが占めるイメージの中、メンデルスゾーンはフランス人。

しかも後進です。

かなり良いです。


で、くるみ割り人形は子供の頃に児童向けの漫画や小説でお世話になりましたが、いわゆる夢落ち作品の一つにカテゴライズされる作品ではないでしょうか。

でも、大好き作品の一つです。

ざっくりまとめると一人の少女がくるみ割り人形のピンチに手を貸し、問題を解決する話です。

そんな話はどこにでもあると思いますが、この作品を推すのは、バレエ作品だからということ以外に、一人の少女の純粋な人助けの気持ちに感化されたことに起因するからでしょう。


主人公のマリア・スターバルム(Maria Stahlbaum)には、兄のフレドとルイスがいます。

彼女と兄弟は、彼女達の名付け親のドロッセルマイヤー(Godfather Drosselmeier)と懇意にしていて、マリアは彼がクリスマスに与えてくれたくるみ割り人形に惹かれていきます。

兄が乱暴に扱って壊してしまい、結果壊れてしまうこのくるみ割り人形に対し、思い入れを抱くマリアは、この人形を大事にし、夢にまで彼との冒険を見る始末。

と、大人の私は単なる夢落ちとして書いてしまいますが、子供のマリアには、何とも言えない魅力あるくるみ割り人形を大事にする気持ちは尊いもの。

そして、ドロッセルマイヤー氏の話を聞くと、どうもこのくるみ割り人形は、彼の甥御が悪いねずみによって姿を変えられた後の姿だという。

マリアは急速にこの人形にも、そして陰ながらドロッセルマイヤー氏の甥御にも惹かれていきます。


ここでのポイントは、やはりマリアのやさしさではないでしょうか。

子供ながらも物の大切さをよく理解し、兄によって手荒く扱われた靴み割り人形を大事にする優しさ。

心無い、お金だけ持っている人間であれば、「また買えばいいし」と割り切ってしまうところ、マリアは兄の所業を謝ります。

手荒く扱ってしまったこと以外、特に非があるとは思えない兄のことをマリアは大切に思っていますので、くるみ割り人形に対して謝罪をしているところもマリアの優しさを感じます。

三兄弟の中で一番幼いマリアですが、スポットライトが当たっているため一番優しい人物として描かれています。

年若ながら無条件の優しさには感服しました。


さて、ねずみが登場する作品は、本作以外にも読んできました。

*Mrs Frisby and The Rats of Nimhとか、Chartlotte's Webとか

Mouseにしても、Ratsにしても、その物語によって位置づけが様々です。

今回の作品は、ねずみが悪役でした。

動物によって物語の立ち位置が分かれることが多い傾向にありますが、本作ではねずみが地を這い登場人物達を追い詰める描写は怖さを感じました。

大群で押し寄せる雰囲気や姿h、読み手を驚かせる格好の描写かなと思います。


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