Author: Soman Chainani
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: AdvanceよりのBasic(英語に一日3分向き合えるレベル)
この本を読むと、「友情の輪を考えるきっかけを与えられる」というベネフィットを得られます。
「友達の作り方」について、私は何度か記事やニュースに触れたことがあります。
様々な考え方がありますが、童謡にあるように友達100人作る必要はないと説く人もいますし、友達はいらないと言う人もいる。
日本の学校、大学など名前の付いた社会から一度はみ出した経験のある私は、かつてどこにも属さないい自身に苦しんだ時期もありました。
そんなことを考えさせられたのが本作。
過去に紹介した「The Prince and the Troll」「Hazel and Gray」と同じくAmazonオリジナルの商品で、本作の作者は「スクール・フォー・グッド・アンド・イーブル」を書いたSoman Chainani氏ということもあり、ドキドキが止まりません。
あ、「スクール・フォー・グッド・アンド・イーブル」はまだ読んでませんし、Netflixオリジナル作品も観てません。
※まだ読んでないと言っている時点で、読む気満々
本作の舞台は高校。
さわやかな学園ライフが繰り広げられるのかと思ったら、女子学生を狙った連続殺人事件が発生する舞台でまず度肝を抜かれます。
犠牲になった女子学生達の共通点を洗い出していく探偵と警察は、彼女達を繋ぐ男子生徒達にたどり着きます。
本作のテーマは友情。
それも連続殺人事件の発生という極めて不穏な環境下に置かれた登場人物達の、危うい関係性が浮き彫りになります。
誰かと友達になるきっかけは、ほんの些細なことかと思います。
私の場合に置き換えると、学生時代から付き合いのある二十年来の友人二人と友達になったきっかけは、挨拶でした。
一人とは学校の昇降口で朝の挨拶をしたこと。
もう一人とは、席が近い者同士挨拶して、そのままお喋りして仲良くなったこと。
そんな些細なきっかけから私達三人の友人関係が始まりました。
その後、それぞれ環境の変化や東日本大震災を経て、学生時代とは異なる成人の友人関係を保っています。
学校生活のように毎日顔を合わせなくなった分、交流も少ないですし、社会に揉まれていろいろあったけど、機会をみつけて会えばぱっと会話に花が咲きます。
なんだかんだで友人関係を続けさせてもらっていることに感謝です。
本作で目にする友情は、私のパターンのように目に見えるものではありませんでした。
探偵のカラム(Detective Callum Pederson)と警察のジョセフ(Lieutenant Joseph Chang)は、犠牲になった女子学生達に際立った友情の輪をみつけられないし、彼女達を取り巻く男子生徒も個々に調査するところに留まっていました。
ですが、調査を進めるうちに男子生徒達に奇妙なリンクを見つけ出します。
そして、そのリンクは潜入捜査で学生に扮したカラムにも降りかかるのです。
友達だから、自分は相手を大事に思うから、という理由が事件の奥底に隠れていて、それが暴かれるラストにぞくぞくしました。
展開がよく、読後に感じた絶妙な後味の悪さが、鬱蒼とする本作の良さを引き立ててくれます。
ちなみに、グリム童話やアンデルセンを意識して作られたこのAmazonオリジナルシリーズは、ディズニーも意識しているため、本作の男子学生達の名前はディズニープリンスから取っていました。
洋書と関係ありませんが、歌手Jaxの楽曲「Cinderella Snapped」に丁度はまっていて、この楽曲にもディズニープリンセスの名前が数多く登場するので、気分上昇しながら読めました。
シリーズ中、本作が一番面白かったかも。
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