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Book Report: The Tragical History of Doctor Faustus

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 2022年6月21日
  • 読了時間: 3分

Author: Christopher Marlowe

翻訳版の有無: あり。邦題「フォースタス博士」

映像化: なし。ただし舞台化されている

英語レベル: AdvanceレベルよりのBasic(洋書に一日3分向き合える)


この本は、こんな人達にオススメします。

・成功したい人

・誰にも理解してもらえず寂しい人

・シェイクスピア全盛期を勉強したい人


「Finding Christopher Marlowe」の実験開始を報告する投稿から早20日が経過しました。

ブログへの投稿は全くサボっていますが、Instagram投稿は順調です。

さて、今回はアウトプットの一つで本作品の記事を投稿します。

ずっと読んでみたかったマーロウ作品。

私が選んだのは「フォースタス博士」でした。

比較的短く、プロットもシンプルなので、文学作品を挑戦したことがない方でも本作は気負うことなく挑戦出来ます。

物語の登場人物もさほど多くなく、すんなり入ってきます。


主人公はタイトルの通り、フォースタス博士です。

彼は学位ある立場の人間であるため、知識人で物知り。

ですが、自身が勉強して得た知識以上のものを求めたところから彼の悲劇が始まる、というのが本作品です。

限界以上の知識を貪欲に求めてしまうのですね。

アニメみたいですね。

頭がいいと知識、権力を手にすると不老不死、著名になると美貌を求めるのは、もはやテンプレートなのか。

フォースタス博士は本懐を遂げるために、悪魔契約に詳しい二人の同僚を呼び寄せて詳しく教わり、遂に悪魔メフィストフェレス(Mephostophilis)を呼び出して彼の主人であるルシファー(Lucifer)と契約を結びます。

知識と引き換えに自身を悪魔に差し出したフォースタス博士。

彼の運命はいかに。


という、シンプルでわかりやすく、それ故に主人公の行く末を知りたくなり読者の好奇心は掻き立てられました。

Instagramでは既に投稿しましたが、短い物語りでありながらもフォースタス博士の心情を読み取ることが出来ました。

この人、学者として本当は成功したかったし、他者から崇められたかったのだろうなと感じました。

しかしその高過ぎる望みを共有出来るくらい、心を許し合える友もいなかった寂しい人なのだなと同情しました。

友達がいれば自分の夢の実現に向かって切磋琢磨出来たのに、悪魔契約に詳しい同僚を呼んでミーティングするって、本当に悲しい話。

自分の夢や実現したい野心について語り合うのではなく、悪魔契約して悪魔に自分の欲望を叶えてもらうって、虚しい以外に何かあるのでしょうか。

この同僚二人も友達ですらない。

だからフォースタス博士が危ない橋を渡ろうとしているのに、止めようともしない。

(彼らの悪魔契約の知識を求められているのだから、止める選択肢はないのですが。)

ここまで書いていますが、実はフォースタス博士が直接「僕は寂しい!」と訴えるシーンはありません。

すべて私の考察です。

ただ男女関係なく、他者からの承認を求める人は大概心が寂しい人が多いので(書籍や映像など以外に実際に人に会って感じた感想です)、おそらくフォースタス博士も寂しさを抱えていた一人。

彼が知識を得てどうなりたいという願望も特段記載はありませんでしたが、誰よりも物事を知っていたいという一番になりたい思いが心の底に存在していたのではと感じました。


さて、マーロウは本作以外にも世に出していて、特に歴史劇を出している印象が強いです。

後にシェイクスピアも、プランタジネット朝を舞台にした作品を世に出していますが、マーロウの歴史劇の代表は「エドワード二世」です。

イングランド王の歴史を紐解くと、エドワードに限らず、ヘンリー、リチャードが乱立して大混乱しますが、この「エドワード二世」はプランタジネット朝の人。

それも始まりの方にいる人です。

不勉強な私は、注意するエドワード、ヘンリー、リチャードを「ランカスターかヨークか、あるいはチューダー朝の人か」でざっくり区別します。

これが出来るようになったのはフィリッパ・グレゴリーの複数作品と菅野文先生の「薔薇王の葬列」(秋田書店)のお蔭です。



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