Author: Margery Williams
翻訳版の有無: あり「ビロードうさぎ」、「ベルベットうさぎのなみだ」
映像化: なし
英語レベル: Advanced寄りのBasic(一日3分英語と向き合えるレベル)
この本を読むと、「おもちゃを大切しようと改めて思わせてくれる」というベネフィットを得られます。
おもちゃと自分という設定を目の当たりにすると、ディズニー/ピクサー作品の代表作「トイストーリー」シリーズを思い出します。
子供が大人へと成長する過程で親から与えられるおもちゃとの触れ合いの物語は、それがどんなおもちゃだったとしても、そのおもちゃは子供に安心を与えてくれる大切なアイテムです。
個人的なことですが、私の母もおもちゃやぬいぐるみを大切にしていて、最近入手したぬいぐるみにも愛着を抱いて愛情をもって接しています。
彼女の姿から、ぬいぐるみの大切さを思わされます。
私も子供の頃から未だに持っている、ぼろぼろの猫のぬいぐるみを大切にしています。
本作はそんなぬいぐるみが、大切にされた結果、本物に変わる話。
ベルベット製のうさぎはクリスマスのプレゼントとして、主人公の男の子の元にやってきました。
ある日、馬のおもちゃから本物になる話を聞き、うさぎのぬいぐるみは本物になることをやがて夢見るようになります。
ただ、本物のうさぎになるということは、持ち主である男の子の手から離れることを意味しました。
かつて子供だったある人間は、大人になる過程で親からおもちゃを与えられ、成長するうえで心の安定や想像力を付けるためなど、そのおもちゃからたくさんポジティブなエネルギーをもらいます。
本作は、おもちゃのうさぎの視点から描かれているため、男の子がおもちゃのうさぎに対しどういう気持ちでいたのかは描かれていませんが、おもちゃ視点でいうと、どうかいつまでも大切にしてほしいという願いを感じます。
親から与えられたおもちゃは、何もうさぎのぬいぐるみ一つだけではないので、一番人気がいつ入れ替わるかわかりません。
子供がそのおもちゃを大切に思わなくなった瞬間、そのおもちゃはただの物体、布、ぶりきなどに成り代わります。
私は私の加減や気分でおもちゃを手放すことが出来ますが、おもちゃからすれば、持ち主の心次第で扱いの受け方が変わります。
私がいらないと思えば、いつでも手放されてしまうそれらの物体。
本作は、持ち主の手を離れて本物のうさぎになるという筋も描かれます。
実は、その流れは私も経験していて、未だに大事にする猫のぬいぐるみにそっくりの野良猫が我が家に居つきました。
東日本大震災発生の直前に、ライバル猫と車通りの多い大通りで喧嘩して帰らぬ猫になりましたが、生前は私と私の家族を和ませてくれた大切な存在になりました。
誰が言い出したか忘れましたが、私が長い間そのぬいぐるみを大切にしたから、神様がそのぬいぐるみによく似た本物の猫を連れてきてくれたのだと、家族から声掛けされました。
ちなみにその野良猫は、亡くなった年のお盆に濡れた姿で私の夢に現れました。
抱っこしたら濡れてた 笑
ちゃんと向こう側から渡ってきてくれたその猫は、以来私の夢に現れません。
きちんと成仏したのだと思います。
おもちゃは子供時分の私達に、心が温まるエネルギーを与えてくれます。
そして不思議なことに、思いを持ち続けるとそのおもちゃによく似た本物の生き物を連れてきてくれるのです。
こういったエピソードを経験すると、いえ経験しなくとも物ですから、大切に扱わなければと思わせてくれます。
形あるものですから、ぼろぼろになるまで大切にしたいものです。
もちろん、ときめきがなくなったら手放すことも考えてもいいのですが、物の視点でいえば、ぼろぼろになった最後まで手元に置いていてほしいのだと、本作を読んで感じました。
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