Book Report: The Virgin Suicides
- Masumi
- 6月25日
- 読了時間: 3分
Author: Jeffrey Eugenides
翻訳版の有無: あり「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」
映像化: あり。「ヴァージン・スーサイズ」
英語レベル: Advanced(一年間で一冊洋書を読了できるレベル)
「大人と子供の危うい境目で、人は何を思うか」
初めてこの作品に触れた時、私はまだ十代でした。
そして触れた媒体は映画(映像から入った)だったので、印象は強烈。
だって、まず、ヴァージンでスーサイドですよ。
作品の主人公も十代の女性達で、当時初めて作品に触れた十代の自分とリンクしますし、ショックでした。
映画が、例えば血しぶきが勢いよく映像が出てくるスーサイドだったら、凄惨さが強烈で作品に対し別の印象を受けたかもしれませんが、本作は全体的に静かで、淡々とスーサイドのラストシーンまで巻き取っていきました。
これから当たり前のように生きる人達が、次々に死んでいく。
エンターテインメントでの死に方(ホラー映画のことを指しています)ではないテーマでしたし、病気を通じて生きることの大切さを訴える作品(The Cure: マイ・フレンド・フォエバーが思い浮かびました)のような作品とは一線を画しました。
だから、尚更、本作の印象は強烈でした。
邦題にもあるように、本作のテーマは少女達の死についてとりあげています。
リズボン家(The Lisbon)に生まれた年後の五人姉妹、テレーズ(Therese)、メアリー(Mary)、ボニー(Bonaventure)、ラックス(Lux)、セシリア(Cecilia)は、評判の美人姉妹として語り部とその同級生の男子生徒たちが住む町の間では有名でした。
生真面目な学校の先生のリズボン氏と、厳格で教育熱心なリズボン夫人の間で育った五人姉妹は、自我がないうちは親の傘の下にいても、特段、トラブルを起こすことはありませんでした。
ある日、末娘のセシリアが、風呂場で自らの命を絶とうと試みるまでは。
邦題のとおりなので結末を隠しませんが、残念ながら彼女達は一人残らず亡くなってしまいます。
両親が必死に監視しても、周囲が気をかけても、あるいは無下に扱ったとしても、姉妹は自分達の手で自身の人生を終わらせてしまうのです。
そして、なぜその選択をしたか、理由が全く語られないところが本作を「衝撃作」としているところだと感じています。
本作における「死」は、様々な捉え方が出来ます。
生まれたのだからいつかは死ぬもの、という少し放任にも感じる捉え方だったり、親の支配下から抜け出す極端な終わらせ方だったり、あるいは若さゆえに自分から遠い存在の死の神秘に取りつかれたという見方あったり。
両親の傘の下から抜け出す、というのは五人に共通することですので、一人や二人に引っかかった事柄ではパンチが薄い。
なぜ彼女達は生きることをせず、死を選んだのか。
何度考えてもその理由はわかりません。
ただ、最初に命を絶った一番若いセシリアに続くように、連鎖的に自身に手をかけた、という点がキーになるのかもしれません。
原作のネタバレになりますが、セシリアの死後、連鎖的に手をかけた姉妹のうち、一人は一時的に助かるのですが、姉妹の分も生きるというのではなく、結局死を選んでしまうという結末が待っています。
一時的に助かったことで死から遠ざかるのではなく、命を終わらせることを完結させる選択には更に驚かされました。
映画版と原作と、死を扱うため観た後の気持ちは晴れないと思いますが、生きること、死を見つめることをより意識させられます。


コメント