Author: Julia Quinn
翻訳版の有無: あり。「まだ見ぬあなたに野の花を」
映像化: あり「ブリジャートン家」
英語レベル: Advancedレベル(一年に一冊洋書を読了できる)
この本を読むと、「与えられた場所で人は咲き誇ることが出来ることがわかる」というベネフィットを得られます。
今作からブリジャートン家の弟妹達のお話に移ります。
その第一弾がエロイーズ(Eloise)のお話です。
エロイーズは、Netflixで放送されるドラマシリーズではシーズン1から登場する目立つキャラ。
第一作「The Duke and I」主人公である長女ダフネと比較されるキャラとして描かれているし、どの女性キャラとも違う、独立して自分の意見をがんがん言うタイプ。
結婚したことで自分を確立し、女性として輝き始めたダフネと違い、エロイーズは結婚に興味がなく、独身の段階から自分を持っています。
本作登場時28歳の彼女は当時の風潮でいうと、「独身貴族」。
もてなかったわけではなく、男性達からプロポーズされていますが、すべて断ったという過去を持ちます。
そんな彼女の結婚への人生が動き始めるのは、親戚の女性マリーナ(Marina)が亡くなり、そのお悔やみの手紙を彼女の夫へ出したことがきっかけでした。
それがエロイーズと、フィリップ・クレーン卿(Sir Phillip Crane)とのやり取りの始まりでした。
エロイーズは自分が生きる世界を自分で決めてきたタイプ。
これまで居心地がよい世界にいた彼女ですが、28歳、今後独り身で行こうとしていた時に、予想だにしなかった出来事が起きて彼女は自分の人生を見つめ直します。
非常に孤独を感じ、自分の現状に焦り、そして僅かなチャンスに賭けて自分で行動を起こす姿は彼女らしい。
この28歳で焦りを感じるあたり、現代のアラサー、アラフォー、アラフィフなど、アラが付く付近の年代の女性も共感出来るんじゃないかなと思います。
そうした焦りの中、フィリップと会うことを決めたエロイーズ。
彼の住まいでフィリップと対面し、そしてそこで思わぬ出会いもあり、エロイーズはクレーン家が抱える問題に丁寧に向き合っていきます。
本作を読んで受けた印象は、「エロイーズってSound of Mucisのマリア・ヴォン・トラップみたい」でした。
明るくて、考え方が柔軟で、子供の気持ちに寄り添ってあげられる。
感情の揺らぎもわかるけど、かなり論理的。
実年齢や抱えるものからすると、フィリップの方が大人であるはずなのに、エロイーズの大きな懐のお蔭で彼も成長していく描写にわくわくしながら読み進めました。
お兄さんお姉さんの中で過ごしてきたエロイーズだから、大人びた部分も多い彼女ですが、子供の心も持ち合わせていて、それがチャーミングに表現されています。
さて、本作以降の弟妹のお話ですが、各作品紹介のコラムを読むとみんな一筋縄ではいかない恋愛をしそうな予感がします。
誤った相手を好きになる四男グレゴリー、未亡人の立場からまた人を好きになる三女フランチェスカ、あのレディ・ダンブリーの孫と恋に落ちる四女ヒヤシンス。
始めから男女一対一で向き合ってきた最初の四作とは違う感じがするな。
エロイーズの恋も、亡くなったとはいえ前妻がいる相手との恋だったし。
どうなっていくのか今後が楽しみです。
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