Author: Portia MacIntosh
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: AdvancedよりのBasic(一日に3分英語と向き合えるレベル)
この本を読むと、「どの時点からでも人は恋に落ちることが出来ることに気づける」というベネフィットを得られます。
ワンナイという言葉が注目されたのは、気志團さんの楽曲「One Night Carnival」がヒットしたことがきっかけだと思っています。
英単語にもワンナイがあり、言葉通りone night standなのですが、これは一夜限りの関係のことを指します。
行きずりの恋というやつです。
それが本作ではTwo Nightなのだからどういうことだと思って、思わず洋書を買ってしまったのがご縁でございます。
でも蓋を開けてみたら、確かにワンナイなのですが、人間関係の課題を置き去りにしていた主人公がその事柄に向き合う物語でした。
目を覚ますと、ヘイリー(Hayley)は自身の上司の隣で寝ていました(きゃぁ!)
おりしもこの日は大晦日。
ニューヨークは大雪に見舞われ、しかも彼らはニューヨーク本島ではなく、離島にある上司の別荘で目覚めた模様。
しかも、よくよく話を聞くと、上司と思っていた男性はクリス(Chris)といい、ヘイリーの上司ではない模様。
という、ラブコメあるある要素をふんだんに取り入れた本作は、リラックスしながら読める作品ですが、深堀すれば自分が向き合うべき課題ともちゃんと向き合うハートフルな作品になっています。
見知らぬ男女が試練とも呼べる困難に遭遇し(この場合、大雪の中離島にいる)、お互いの素性を明かし合うことで、心の距離を縮めていくという話です。
読み進めると、クリスは数年前のクリスマスに母を突然亡くし、以来父親と寂しいクリスマスを過ごしていることがわかります。
一方のヘイリーも、妹との不和があり、妹を真綿のように扱う両親とも距離が出来てしまって、長いこと実家に帰っていないということがわかります。
ワンナイという何とも薄い人間関係の始まりが、大雪の中離島にいるという環境が作用して、ヘイリーとクリスは彼らが抱える課題に向き合うことになります。
クリスは父と不和があるわけではなく、ただこのクリスマスシーズンは悲しい思い出を思い出すことが心苦しいという描写が一貫して描かれますが、ヘイリーはクリスのエピソードを聞くことで、妹と向き合う決心をします。
始まりは確かにワンナイと言う、決して真剣とは言えないきっかけでした。
彼らの課題の共有をきっかけに、もう一度そんな関係におちる= Two Night Standを経験することになります。
体の関係がきっかけで恋が始まるというエピソード。
出来れば段階を踏んだ方が、男女関係はシンプルだし、一般の目を気にすればその方が世間から受け入れられやすい傾向がありますが、何がきっかけで恋が始まるかわからないのが恋。
額面通りにいかない恋も楽しめるというのが本作で楽しめます。
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