Author: Kevin Ryan
翻訳版の有無: なし
映像化: なし
英語レベル: Advanced(一年に一冊洋書を読了することができるレベル)
この本を読むと、「文学作品をはしごしたくなる」というベネフィットを得られます。
本作は映画を文書化したもの。
原作は映画の方でした。
昔から、知識もなく「ヴァン・ヘルシングが観たい」という思いがあり、でもタイミングが合わずにずっと観られずにいた作品でした。
満を持して(?)観たのはつい最近(といっても別に一か月以内の話ではないのですが)。
冒険、未知の生物、戦い、ほんの少しのロマンスと数々の要素がいい塩梅で混ざった作品で、とても満足したのを覚えています。
人を惹きつけるアイテムの一つでもある「ヴァンパイア」ものが詰まった本作。
2023年の自分の課題として読んだ「ダレン・シャン」も、近い将来読破を目指すブラーム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」、ステファニー・メイヤー「トワイライト」も、ヴァンパイアものですが、本作は数々の文学作品が取り入れられて、うまく物語が展開します。
エピソードをふんだんに取り入れつつ、個人的にうまくいってないなと思った映画は過去に観たことがありますが、本作は真逆。
「吸血鬼ドラキュラ」を主筋とし、「フランケンシュタイン」「ジキルとハイド」のエピソードが取り込まれていますが、邪魔するのではなく、主筋の物語に対するいいスパイスになっています。
ドラキュラ伯爵と何世紀と戦い続けるヴァレリアス一族の物語を主軸とし、その手助けに入ったのがヴァンパイアハンターのヴァン・ヘルシング。
ドラキュラ伯爵を倒さないと天国に行けない呪いを掛けられている一族のうち、ヴェルカン(Velcan)とアナ(Anna)兄妹は、戦いの世界に生きる最後の二人。
どちらかがドラキュラ伯爵を倒さないと、呪われたままで終わるので、二人には一族の命運がかかります。
そんな二人にはドラキュラ伯爵以外にも命を狙う輩がいまして、魑魅魍魎の世界に属する狼男とも戦うのですが、兄ヴェルカンが戦いの最中に消息不明に。
妹アナがドラキュラ伯爵と相対することに。
時同じくしてヴァチカンから指令を受けたヴァン・ヘルシングが、修道士カールを連れてアナと合流します。
彼女から聞く一族とドラキュラ伯爵との戦いに、失われたヴァン・ヘルシングの記憶も呼び起こされていきます。
(とうのも、どうもヴァン・ヘルシングは何百年も生きた存在のように書かれています。)
本作は映画の興行収入の結果でシリーズ化されず、結局ヴァン・ヘルシングの正体とドラキュラ伯爵との関係も曖昧なまま物語も閉じてしまいますが、探求心を呼び起こしてくれる隠れた良い作品となってます。
様々な要素がぎっしり詰まっているのに、ちゃんと収まっているところが一番のよいところ。
先に書いたように、文学作品のエピソードをいくつか取り入れているのに、邪魔していないです。
なんといっても、その複数ある文学作品を読みたくなるよう思わせているのが本作の良さ。
ぜひ挑戦してみてください。
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