Author: Amy Krouse Rosenthal, Tom Lichtenheld
翻訳版の有無: なし
映像化: あり「YESデー~ダメって言っちゃダメな日」
英語レベル: Basic(一日3分間英語に向き合えるレベル)
この本を読むと、「まず受け入れることが大事と気づくことが出来る」というベネフィットを得られます。
「受け入れる」で真っ先に思ったのは、否定でした。
なので、本作「Yes Day!」とあまり関連はありませんが、まず前置きで否定の話をします。
最近よく足を運ぶ本屋さんで、林健太郎さん著「否定しない習慣(フォレスト出版)」が取り上げられているところを目にしました。
私のメンターの一人鴨頭義人さんが常々、まず相手の考えを聞いた時は「いいね!」と言った後に自分の意見を言う、まずは受け入れることを解いていますが、同じように説く方が他にも出てきてくれて嬉しく思います。
否定することには二つ背景があると私は考えていて、一つは本当に否定(deny)ですし、もう一つは日本語特有のもの(文法)が否定文化を前面に押し出した背景だと思っています。
特に後者が理由で、私達は知らず知らず否定から入ってしまうのです。
謙遜文化の中で育った日本人は、褒められると「いえ、そんなことないですよ」と謙遜します。
日本語の文法では否定形を使うことで受け入れる方向に話が進むのですが、掘り下げると相手が自分をほめてくれたことを否定しているんですよね。
(こういう時は、同じ謙遜でも「ありがとうございます。恐縮です」と使うと否定しない形を取り、相手のお褒めの言葉を受け取ることが出来ます。)
さて本作「Yes Day!」は前者の「deny」に焦点があたります。
Netflixで映像を見てから本作を読んだため、ドラマ版が随分脚色されていることに気づけるのですが、本作を紹介するテーマとも絡むので、ドラマと本を織り交ぜてお話ししましょう。
「Yes Day!」は何に対してもYesと言う日。
子供向け作品なので、子供がやりたいと言ったことに対して、親はYesを出して子供の願いを叶えてあげる日を指します。
本作でも主人公の男の子は、親に対して「朝食はピザを食べたい」「自分達で遊びを考えて、遊びたい」などささやかなお願いをして叶えていきます。
さて、親が子供に対してYesと言えないのはなぜでしょう?
子供のことが嫌いなのでしょうか?
いいえ、親は子供を危険から守りたいからNoと言うのです。
そしてルールに則って行動してほしいからNoと言うのです。
ドラマ版では、親からNoと言われることに退屈さ、窮屈さを感じる子供達と、親になる前はあんなに挑戦してきたのに親になった途端に保守的になった三人の子供を持つ親の葛藤を描いています。
何につけても親からNoと言われる子供達。
子供達が心配でNoと言ってしまう親二人。
子供の一人が学校の課題で親からの抑えつけをテーマにした作品を提出し、それを担任の先生が観たことで両親が呼び出され、学校職員から「Yes Day」導入のアドバイスを受けたことでこのドラマが始まります。
これは本当に、人の葛藤を描いた作品です。
私達は、成長の過程で「いろいろなことに挑戦して人生を豊かにしなさい」とアドバイスを受けますが、親になると、子供を危険から守らなくてはならない。
なので、ある程度境界線を引いてあげてしまう。
しかし子供はこの「いろいろなことに挑戦して人生を豊かにしなさい」を実践したい。
失敗して傷ついてもそれもネタにしたい。
でも、親目線だとその危険から守ってあげたい。
この親と子供のYes No合戦は普遍的なテーマで、これを朗らかなタッチで描いたのが本作で、これを更に掘り下げたのがドラマ版です。
(ドラマ版の子供達は、ティーンエージャー、小学生、幼児と様々な年齢の子供達で、年齢とともに挑戦したいことも複雑になっていきます。)
この普遍的な作品を、洋書、ドラマのどちらを手に取っても感じるのが「まず受け入れることが大事」だということ。
ドラマ版で特に感じましたが、両親はとにかくNo no言い過ぎ(私は大人目線のはずですが、子供の気持ちになってた 笑)。
No no言う場面を切り取った映像だったので、そう感じたのも仕方ありませんが、学校の課題を通じて担任の先生に自分の親からNo no言われて窮屈だと訴えるのも無理ありません。
確かに子供の安全のために、危険予知してNoを言うのは親の大切な役割ですし、愛情深い親心だとも思います。
ですが、誰しも否定され続けていい思いにはなりませんね。
洋書は子供向けにつき、ページ数も少ないですが、作品内で取り上げている子供がやりたいことは至ってシンプルです。
ちょっとしたことを子供達は挑戦してみたいのです。
はっきり言って、大人目線では「そんなこと?」と思わず軽んじてしまうものばかりでした。
でも、受け入れてあげることで子供は喜びます。
そしてこの考えは、年齢や性別関係なく、相手をまず受け入れるというのは大事だという点に通じます。
このシンプルな作品を通じて大切なことに気づかせてもらいました。
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