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【Narnia】 The Last Battle

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 2022年9月11日
  • 読了時間: 4分

更新日:2024年12月17日

Author: C. S. Lewis

翻訳版の有無: あり。邦題「さいごの戦い」

映像化: なし

英語レベル: Advanceレベル(洋書を1年間に1冊読了出来る)


この本は、こんな人達にオススメします。

・不正が許せない人

・人のピンチを見ると、助けたくなる人

・まだ見ぬ世界に希望を見出せる人


これまで六作続いた「ナルニア国物語」もこの作品をもって終わりです。

ペベンシー四兄弟と従兄弟のユースタス、そして彼らと関わりを持った人達は、ナルニア国と深いところまで繋がり運命を共にすることになった姿が、この作品で描かれています。

ラストは読者の想像を超えた展開であり、良し悪しあると思います。

私も結構ショックでした。


さて、ラストというだけでも特別な感じのする本作「さいごの戦い」のテーマは乗っ取り。

これまで本作はキリスト教になぞらえてプロットが考えられていることから、この作品はいわば誤った神託(false prophecy)を描いています。

猿のシフトとロバのパズルは、ある日物言わぬライオンの皮を拾います。

その皮を使って悪だくみを考えたのが猿のシフト。

この皮をパズルに被せ、ナルニアの神であるアスランを名乗らせ始めたのです。

そのことで国に混乱を招き、異世界からナルニア国へ召喚されたこれまでのメンバー達が国を救うべく開戦します。

それが、ナルニア国における最後の戦いとなったのです。


今までの作品でももちろん戦いを扱っていましたが、本作は後味の悪い戦いでした。

第二作「カスピアン王子の角笛」では、間違った王位継承を執り行う叔父を許せず戦うカスピアン王子の姿が描かれましたが、正義が悪を成敗する流れでした。

本作も正義が悪を成敗する流れには変わらないのですが、圧倒的に悪の力が強いこと、片方が神の名を騙っている点が読んでいて良い気分にならなかった理由のように感じます。

敵の数という絶対数の違いはもちろん、無知で煽れば簡単に引き込まれてしまう相手をどう改心させるかという悩みも描かれており、読み応えがあります。

一番初めに招集されたのがユースタス。

初登場作品「朝びらき丸 東の海へ」ではだいぶ小物キャラでしたが、物語を通じて心がしっかり成長し、本作でも勇敢に立ち向かってくれています。


それにしても、悪役側の名前の付け方に作者のこだわりを感じます。

猿のシフトとロバのパズル。

英語にするとShift the Ape and Puzzle the Assです。

シフトとは、○○が●●にシフトするとかいうように使いますが、猿のシフトはナルニア国の運命を変えるのに一石を投じることとなっただけに、まさに名前の通りの役割を全うしてくれたなと感じました。

パズルとは、戸惑うという時に使う単語です。

I am puzzledで、私は(○○という話を聞いて)戸惑う、という具合に使います。

ロバのパズルは猿のシフトを大事な友人と考えていますが、シフトはどちらかというとパズルを召使のように扱っている輩です。

そのシフトから、ライオンの皮をかぶって神であるアスランの名を騙れと言われたら戸惑うのは当たり前。

始終戸惑いながらも、大事な友からの依頼(この場合命令に近い)を守るパズルが不憫です。


また、面白いのは動物の英単語が普段我々が使うものと違う。

猿はmonkeyが一般的で、apeも猿を表しますが、違いは尻尾の有無です。

シフトは尻尾がない猿なので、apeに分類されます。

具体的にはゴリラやチンパンジー、オランウータンがこれに属します。


次のロバですが、ロバを表す英単語は一般的にdonkeyですが、時々muleと混同されます。

Donkeyはアフリカの野生のロバの子孫で馬の仲間ですが、Muleは、厳密にはロバではありません。

Muleはラバを指し、メスの馬とオスのロバの間に生まれた雑種を指します。

Assは俗語であるお尻が世に出回っているため、あまりロバとして使われなくなりました。

また、生意気なまたは強情なばか、という意味でassが使われるそうですが、圧倒的にお尻の意味が強いです。

動物には俗語で使われるものもあるので、単語の種類を増やすなら動物を使うのも一つの手です。


敵と味方の数量の圧倒的差で苦戦するユースタスとその仲間達。

苦戦する中迎える戦いと物語の結末に、誰もが驚くに違いありません。


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