【Narnia】 The Lion, the Witch, and the Wardrobe
- Masumi
- 2022年3月20日
- 読了時間: 4分
更新日:2024年12月17日
Author: C. S. Lewis
翻訳版の有無: あり。邦題「ライオンと魔女」
映像化: あり。「ライオンと魔女」
英語レベル: Advanceレベル(洋書を1年間に1冊読了出来る)
この本は、こんな人達にオススメします。
・好奇心いっぱいの人
・人と比べるばかりで自分を探し中、あるいは自分迷子の人
・宗教学に興味がある人
物語の舞台は戦時中の世。
メインキャラクターであるペベンシー四兄弟が、疎開先の親戚宅にあったワードローブを通じて異世界へ訪れます。
そこは魔女に支配され、ナルニア国の住民は長い冬に耐える生活を送っていました。
登場人物達が二つの世界を行き来する作品は数あります。
同時進行で別に読んでいる「オズの魔法使い」シリーズも、主人公の少女ドロシーがアメリカのカンザス州とエメラルド・シティを行き来する魅力的な物語です。
二作品を比べると、「オズの魔法使い」は単純にドロシーの異世界冒険奇譚であるのに対し、「ナルニア国物語」はよりモラルを説く物語だと感じます。
昨今、私達を取り巻く環境は、四兄弟が直面する現実とよくリンクします。
自分達の力ではどうすることも出来ない戦争を経験する四兄弟と、新種のウィルスと生きることになった私達。
近隣諸国で起きた戦争も、いつ日本に火の粉が掛かるか。
この戦争に直接の関わりはありませんが、決して他人事ではありません。
暗いことばかり書いてしまいましたが、物語を光らせるのは登場するキャラクターにどれだけ魅力があるか、ということも注目すべきアイテムです。
「ライオンと魔女」の主人公は末っ子のLucy(ルーシー)と兄弟の三番目のEdmund(エドマンド)。
二人には異なる役割があります。
ルーシーはナルニア国を発見し、結果としてナルニア国に春を連れてきました。
エドマンドは彼を通じて人間の脆さ、罪悪感、鬱屈した心、許しを象徴します。
そして、ペベンシー四兄弟は一見仲が良いですが、特に兄弟の三番目、次男のエドマンドは兄弟の中で異質、black sheepの立場にあります。
一番目で長男らしい典型的な責任感あるPeter(ピーター)、母代わりとなる長女Suzan(スーザン)、こちらも典型的な愛されキャラの末っ子Lucy(ルーシー)。
エドマンドは自身のポジションの確立や、自分の意見を言うことに課題を抱いています。
上記で書いたように、エドマンドは他の兄弟それぞれに対し隠れたコンプレックスを抱いており、その脆さを察知した魔女がうまく利用するのです。
その点、年長者であるピーターは成熟していて、精神的に大人です。
物語の前半、ルーシーが語るナルニア国のことを信じなかったピーターでしたが、実際にナルニア国を訪れることになり、自分の目で確かめるとルーシーにしっかり謝罪する場面があります。
同じく当初信じなかったスーザンと違って、ピーターには自分の非を認める素直さがあります。
本作品は、7冊を通して聖書を意識して書かれていると言われています。
「ライオンと魔女」は、個人的に創世記、アダムとイブが禁断の果実を食べるところを参考にしていると感じました。
エドマンドと魔女の出会いのシーンですね。
あとは新約聖書のキリスト復活。
ナルニア国のすべての王として描かれるアスランは、ライオンの姿をしている、というのは聖書のカラーがもろ出ています(キリスト教でライオン、あるいは羊はキリストを表します)。
他6作品が聖書のどのエピソードを使用しているのか、照らし合わせながら読んでいくと宗教学に携わる方にはとっかかりやすく、比較しやすいと感じます。
さて、私は「ナルニア国」シリーズは、出版順で最初の3作品は洋書で読みましたし、映画も観ましたが、7作品すべて読めていないため、ペベンシー四兄弟が残りの作品にどうかかわるのか気になっています。
7作品すべてを通じて登場するのか、それとも途中でいなくなるのか。
それから、これはウェブで調べて知ったのですが、7作品の読み方として、出版順に読むことと年代記で読む方法があるそうです。
今回の「ライオンと魔女」は出版順で1番目ですが、年代記では2番目だそうです。
面白いですね。

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