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【Narnia】 The Magician's Nephew

  • 執筆者の写真: Masumi
    Masumi
  • 2022年8月22日
  • 読了時間: 3分

Author: C. S. Lewis

翻訳版の有無: あり。邦題「魔術師のおい」

映像化: なし

英語レベル: Advanceレベル(洋書を1年間に1冊読了出来る)


この本は、こんな人達にオススメします。

・親戚に変わったおじさんがいる人

・トラブルの原因を作ってしまったことがある人

・プロジェクトの立ち上げに関わったことがある人


本作を読み進めていて、気になっていたことがあります。

「ナルニア国はどうやって出来たのだろうか?」

「初めから冬の女王ジェイディスはいたのか?」

「アスランはずっとアスラン?姿かたちがライオンなので、子供の頃の姿はあった?」

ナルニア国は年代記なので、歴史が浅い時代に遡ればエピソードが出てくるかなと思ったのですが、そんな疑問を本6作目が答えてくれました。

「魔術師のおい」は、6作目ではありますが、年代順に並べると1番目に来る作品です。


今回の作品にはペベンシー四兄弟は登場しません。

代わりに、新しいキャラクターのディゴリー(Digory)とポリー(Polly)が登場します。

ディゴリーは、病気の母親と二人で母の実家にお世話になるため引っ越してきた少年です。

彼が遊んでいると隣の家のポリーと出会い、以来遊び仲間として時間を過ごします。

二人はある日、ディゴリーが世話になっている母の実家で遊んでいると、ある一室で彼の伯父の秘密の実験に立ち会ってしまいます。

伯父のアンドリュー(Andrew)は魔法を使う人。

ちなみに実家には彼の他にディゴリーの母の妹がいますが、彼女は常識人で、アンドリューを変人と思っている気があります。

ディゴリーも同じく、伯父のアンドリューは近寄りがたい、変わった人だと思っていました。

アンドリューは魔法を使ってポリーを異次元へ飛ばし、自身の魔術成功に酔いますが、当然、ディゴリーに怒られます。

ポリーを救い出すために、ディゴリーも異次元へ飛ぶのですが、異次元へ行った先での彼の軽率な行動がすべての災難を引き起こします。

そう、彼が封印されていたジェイディスを覚醒させてしまうのです。


同時期にナルニア国は生まれたばかりでした。

ディゴリー、ポリー、そしてジェイディスは立ち会っています。

ですが、ジェイディス覚醒によってナルニア国に災厄が持ち込まれてしまいました。

その厄を調和するためのミッションを、アスランはディゴリーに与えます。

ミッションをやり遂げて、ディゴリーは罪を許されるか、というのが本作のテーマです。


ナルニア国物語は、キリスト教のエピソード、つまり聖書の教えを取り入れている作品であることは有名です。

6作目の「魔術師のおい」もその一つ。

何かを作り上げた時に出来た罪というのは、聖書の創世記に重なるところがあります。

蛇に毒されたアダムとイブが神の楽園から追放される創世記は、キリスト誕生と同じくらい有名な聖書の内容です。

そういうこともあってか、私はナルニア国物語の6作品読んだ中で、1作目「ライオンと魔女」と本作がツートップで好きです。

やはりテーマがわかり易いというか。

ほかは普通の冒険ものの印象を受けました。

ナルニア国に魔女の毒を入れてしまったことで、中和が必要になり、はっきり書かれていませんが、永遠の国でなくなってしまったことが暗示されます。

いずれ滅びる時が来るこの国に、そこで過ごす生物達も言葉を話すかどうかで階級が分けられます。

ディゴリーのミッション後、この国は大切に扱われ、長い歴史を歩むことになりますが、始まりがあるということは終わりがあり、終焉に向かって国が育つのです。

ディゴリーが創世時代のナルニア国にもたらしたものが、ペベンシー四兄弟に引き継がれ、遂に終わりを迎えることになります。

終わりのバトンを受け取るのは誰、という雰囲気を持って本作品は終了しますので、最後の作品「さいごの戦い」を読むのが楽しみになります。


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