Author: Emily Giffin
翻訳版の有無: あり。コミック版「サムシング・ブルー~最善の恋人~」
映像化: なし
英語レベル: Advanceレベル寄りのBasic(洋書に一日3分向き合える)
この本は、こんな人達にオススメします。
・いわゆる「ハイスペ」に囲まれている人
・調子に乗って羽目を外し、後悔している人
・目を背けているコンプレックスを持っている人
Something Old, Something New, Something Borrowed, Something Blue.
このキーワードをもとに、花嫁は結婚する際にガウンを準備するのが海外の結婚式事情。
前作「Something Borrowed」は、主人公レイチェルが長年の友人ダーシーの婚約者デックスと一夜の過ちを犯し、苦しむ恋愛小説でした。
今回の主人公はそのダーシーです。
前回のレビューでは、表面的なことしか書かなかったため、友人の婚約者を寝取ったレイチェルがいかにも悪女のようですが、読み進めればわかるダーシーの浅はかさ。
結論をいうと、ダーシーは自分の外見の良さを驕って調子に乗り、いわゆる「ハイスペ男子」のデックスを溝に捨てます。
いや、自業自得とも言える行いをした当然の報いをダーシーは受けることになります。
婚約者も友人も失い、代わりに得た人間関係も破綻し、ニューヨークでの居場所を失ったダーシーは、イギリスに住む長年の友人イーサン(Ethan)のところに転がりこみます。
イーサンも彼女の幼馴染の一人で、レイチェル寄りの立場にあることを知りながら、味方をすべて失ったダーシーは、彼を説得して頼ります。
当初のダーシーの振る舞いは、ニューヨークにいた彼女の振る舞いから変わらず、イーサンから見て現実逃避しているし、彼女がこれまで抱えていたコンプレックスをずばずばと言い当てます。
長年レイチェルと張り合ってきたこと。
自身の浅はかな性格から逃げ回っていること。
これまで付き合いがあった男女は調子が良いことばかり言っていましたが、レイチェルとイーサンだけは、ダーシーのことを想って言葉を掛けたり行動してくれていたと、ダーシーは気づかされるのです。
(もう一人アナリーズ(Annalise)という幼馴染の女性がいますが、結婚して子育て真っ最中という立場から描写が少ないです。)
相変わらず人を引き付ける魅力があるので、ダーシーはイギリスに来てもロマンスを経験しますが、彼女の傷ついた心に沁みるのは、失った友人のレイチェルと、彼女を唯一助けてくれるイーサンの存在でした。
(デックスのことも思い出しますが、友人レイチェルを失ったショックが大きいという描写が印象的でした。)
ダーシーが逃げまどってきた自身のコンプレックスと向き合い、彼女のぼろぼろの生活が少しずつ改善していく時、彼女に本当の幸せが訪れるのです。
レイチェル目線で見たダーシーは、自分が苦労して手にしようとしたものをいとも簡単に手に入れていくキラキラ女子でした。
現在の弁護士の仕事をいやいや行うレイチェルにとって、PR会社で華やかな生活をするダーシーの表面を見て羨んでいました。
付き合う男性もハイスペックばかり。
自分にはないものを持つダーシーをいつも羨んでいます。
彼女は思考型で、自分の気持ちに正直とはいえないタイプ。
かたやダーシーは感情を重視して行動を起こします。
欲しいと思ったら欲しい。
そのために動く。
でもその裏にはレイチェルの知的さに自分は敵わないと思っているし、それを改善する努力もしない。
そういう泥臭い努力はレイチェル担当と、自分が苦労しない簡単なところだけ力を入れてきました。
今回、この二冊に及ぶ二人の物語は、レイチェルの思わぬ裏切りが発端で二人の友情の破綻を描きますが、長年の友人関係を見直すきっかけを与えられ、本当の幸せとは何かを二人が考える作品です。
彼女達の主語が本当の意味で「私」になった時、自立した女性に生まれ変わった二人が最善を見出しました。
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