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洋書Lovers普及委員会 委員長のMasumiです。
・・・洋書普及の活動をする者の立場ではありますが、本日は日本人が書いた本を紹介させてください。
かつて読破に挑戦し、シリーズ完走せずに挫折してしまった、三島由紀夫の「豊穣の海」は、輪廻転生ものの代表作の一つ。
輪廻転生は、漫画ならよく取り上げられる設定ですが、小説、それも超・大衆小説という感じでもなさそうな分野で取り上げられているので、とても惹かれた作品の一つです。
ですが、当時はこの回りくどい書かれ方に最終的に抵抗を感じて、途中で挫折。
以来、ずっと心に引っかかっていました。
今回、英語に関連して情報が必要になったので、読書再開をしました。
ちなみに、誤解なきよう伝えておきますが、改めて読み直すと三島由紀夫の物事を説明する言葉の豊潤さに感服します。
情報量が多い!
細部にわたり表現されていることがわかります。
現代人は未婚、既婚、お子さんがいるなどのステータスに関わらず忙しいし、私の場合洋書を読みたい気持ちが最優先なので、本作は、一日一章読むことを目標に読んでいます。
朝読書感覚で毎日読み進めています。
豊穣の海第一部「春の雪」は、映像化されているし悲恋をテーマにした作品なので、三島由紀夫の言葉の濃密度が濃い作品で「うっ!」となりつつも手に取りやすいです。
豊饒の海としての主人公は、本多繁邦という学生。
判事を父親に持つ、理性的な好青年です。
「春の雪」登場時の本多くんは、二十歳になるかならないかの、明るい未来が期待されている青年なのですが、彼の明るい未来に水を差すようなことをするのが彼の友人の松枝清顕。
通称、清様。
彼は幼い頃に、父の手で本物の華族である綾倉家へ預けられ、優雅を身に着けるよう育てられたアンニュイな存在で、滅びゆく匂いを始終漂わせながら非常に危うい美しさをたたえた青年です。
彼は綾倉家の娘、聡子と兄弟同然に育てられるのですが、彼女に対する仄かな想いとうまく応対出来ず、彼女の宮家との婚約を機に破滅へと向かう恋に身を焦がす姿を描いていくのがこの「春の雪」です。
春の雪。
本来、雪が降るのは冬ですが、その次の季節である春に降ることからより一層儚さを表現するこのタイトル。
そして、自分の気持ちに素直になれない青年の、破滅するしかない結末をわかっていながらも恋せずにはいられなかった話が、この「春の雪」で展開されています。
本作の主人公は清様ですが、彼の傍らで、彼の面影をこの後生涯をかけて追っていく本多くんの一生を描く豊饒の海には、惹かれずにはいられない。
ということで表現したのは、この投稿の英語。
先述したように、豊饒の海は輪廻転生をテーマにした作品なので、各作品に登場する主人公は悲劇的な結末を迎えることになるになるのですが、本多くんからすれば、きっと皆に元気で生きていてほしかったのではないかなと思い、この投稿をしてみました。
さて本日時点で私は、豊饒の海第二部「奔馬」を読み始めたばかりです。
丁度、本作品で挫折しました。
今回は完走予定なので、本作の主人公である本多くんがどんな人々の輪廻転生を傍らで見守るのか、楽しみです。
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